「創作を志す人への応援もあるかも?」君たちはどう生きるか IZNさんの映画レビュー(感想・評価)
創作を志す人への応援もあるかも?
鑑賞後、いくつかのレビューを見た上での感想です。
宮崎駿監督の自伝、ジブリの終焉を表してるなど。
なるほどそうか、そうなんだろうなと私も思いました。
とは言え、個人的には映画を観た直後は、そこまで深く考えませんでした。
宮崎監督の好きなもの、こだわりを自由に制約なく詰め込んだ作品という意見に賛同です。
キャラクターや表現など、過去のジブリ作品の色んなシーンを連想する人も多いでしょう。
癖は強いけど、個人的に全体的にはふわっとした印象の映画だと思いました。
イメージを優先するために、ストーリーはとりあえず王道の行きて帰りし物語でいいだろうという感じだからでしょうか。
そういう部分はむしろ、ストーリーの辻褄とか、メッセージ性とかまでは込められないけど、こういうキャラが描きたい、こういう表現がしたいという情熱を持った、創作初心者に重なる部分があります。
今は素人の勝手な感想や批評をSNSなどで自由に発表できるので(私の感想もその一つ)、クリエイターを目指す人は、こういう有象無象の勝手な意見に影響されて萎縮したり、頭でっかちに考えすぎてしまうのかもしれません。
宮崎監督が成功した時代は、そういうのは無かったので、もっと自由だったはずです(創作して発表できるのは今の方が気軽そうですが)。
そんな現代のクリエイターへの、エールとも言えるかなと思ったりしました。
単純なストーリーでもいいし、メッセージ性なんて観た人が勝手に解釈するんだから、自由な発想で創作していいんだって。
それと同時に映画内で言われていたのが「悪意」でした。
好き勝手に自由に発想しても、その中に悪意があってはならない。しかも、その悪意に自分が気がついていない場合もある。
以前見たNHKの宮崎監督のドキュメント番組を、思い出しました。
面白い表現を考えついたとして、その中に、誰かを傷つけ不快にさせる要素が含まれていないかどうか、それを自分に問えるかどうか。
過去には許容されていた表現も、未来ではNGになっているかもしれません。宮崎監督の作品にだって不快感を感じる人はいるでしょう。人種だとか性別だとかで、色んな人がお気持ちを表現する中、全てに配慮して尚且つ面白い作品なんて難しいけれど、批判に怯え過ぎてもいけないが、無神経であってはならない。その上で、それでもその表現は必要なのか、批判されても発表する覚悟はあるのか。
これからも新しい表現や価値観やクリエイターが、生まれては消えていき、宮崎監督だっていつかは過去の人になります。
かつて大人気だった宮崎アニメの一つではなく、未来のアニメに関わる人やクリエイターにも問い続ける作品を作りたかったのではないか、と思いました。