「監督、作りたいものは作れましたか?」君たちはどう生きるか k.comさんの映画レビュー(感想・評価)
監督、作りたいものは作れましたか?
1日経って冷静になって、(まだ余韻は消えませんが)改めてレビューを書き直してみました。
正直強烈な体験をしたような感覚が消えなくて、
もう一度見た方が冷静になれる気もしますが、今の時点での振り返りをしてみます。
火事の場面。すでに謎に揺さぶられて泣きそうになっている自分がいました。
母親を亡くした主人公は、父と、再婚相手と暮らすことになるのですが、
受け入れて欲しい継母はわざとらしいまでに主人公に対して母親を演じます。しかし主人公は、礼儀正しく振る舞うものの、これを受け入れられないでいます。唯一の肉親である父親も、自身の地位を過信し、新しい環境となる息子の内面までは見えていません。
家でも学校でも疎外感を感じる主人公は、自傷行為に及びます。
そんな中、主人公の心を揺さぶる存在、アオサギが登場します。よくも悪くも、序盤で主人公が自身の感情を素直にぶつけられる唯一の相手がアオサギだったように思います。
心を開けない主人公は、寝込む継母に対して冷たい態度をとってしまいます。アオサギに固執する主人公は、弓矢を作るのですが、ここで母から送られた、タイトルと同名の著書を見つけます。これを読み、何かを感じる主人公。これは本を読んでから見に来た方が良かったか。
継母が行方不明になり探しに出るのですが、この時点では、継母への心配よりも、まだアオサギへの敵対心が原動力に見えました。
継母を探すため異世界へ迷いこみます。
生きるために命を奪う世界。それは自分だけでなく、相手もそうであると知ります。
そんな中でアオサギや出会った仲間達と協力し合い、ついに継母の所へたどり着きます。
そして、はじめて親子としてお互いの心をぶつけ合います。
主人公は、自らの意志を固めていきます。
新しい母とともに帰る、と。
大叔父は、世継ぎとして主人公を求めます。少しだけ、大叔父と監督を重ねて見えた気がしました。
主人公は出会った娘が自分の母だと気づきます。娘も、自分の息子だと気づきます。
そして、この少年を生めることに喜びを感じ、自身の世界で生きることを選びます。
主人公も、友と家族と共に生きていく事を選びます。
このあたりから、なんでかわかりませんが涙が止まらなくなりました。
理不尽ばかりの世の中だけど、
それでもこの世界は生きていくに値するのだと
監督に言われているような気がしました。
振り返りながらまた泣いてしまった。
見終わった時に周りを見ると、
退屈そうな人や、困惑してる人なと様々でした。
自分も、「めっちゃ良かったよ」ていう言葉は適切ではない気がするけど、それに代わる言葉も見つかりません。
意外と、大人が見ると難解な話かもしれませんが、子供達はすんなり受け取るんじゃないかな。
と思ってみたり。
最後になるかもしれないのかな。
この時代に生きていることに感謝。
監督が作りたいものが作れてたらいいな。
駄文長文失礼しました。
最後に
どこかの映画館で、自分と同じように
夢中になって、楽しくて、ドキドキして、
そして涙した方々へ
いい映画でしたね。