「R-70指定」君たちはどう生きるか にさんの映画レビュー(感想・評価)
R-70指定
映画館から出た後、私は放心状態になっていました
「すごいものを観てしまった」という思いと
「売れない映画だ」と筋金入りのファンとしての
傲慢な心配心が拮抗したからです
この映画は「敵は誰々、ライバルは誰々、恋愛があって大団円になる」など、物語のプロットを楽しみに映画館に足を運んでいる人には一切刺さりません
なぜなら、1人の天才が死ぬ直前みる走馬灯だからです
レビューには、あの老人が宮崎駿で息子の吾郎に宛てたナントカと言っている人もいますが、比喩を読み解くことにほとんど意味はないと思います
そういったエピソードもまた宮崎監督の人生(走馬灯)の一部に過ぎず、複合的かつ支離滅裂な要素をはらんでいるからです
もののけ姫以降、一貫して宮崎監督は
「生きて」というメッセージを映画のラストに添えていました
けれど、今作は違います
「みんなの待ってる世界(黄泉の国)へ行こう。来世でもう一度生きるために」と
これは70代以降の方にしか分からない境界なのかなと思いました
そして、これから人生を生きていこうと思っている自分にはこのメッセージがあまりに重く、けれど、宮崎監督にしか具現化できなかった風景だったのかもしれないと思うと胸がいっぱいになりました
どんな偉業を成しても人はいつか死にます
「君たちはどう生きるか」
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