「一生懸命、ただ、北を目指す」658km、陽子の旅 まだまだぼのぼのさんの映画レビュー(感想・評価)
一生懸命、ただ、北を目指す
小さな失敗の繰り返しで自分に自信がなくなり人とのコミュニュケーションを避けていたことで、普通に人と会話することもむずかしくなってしまった主人公・陽子が、無一文でヒッチハイクしながら父の葬儀のため青森を目指す物語。
あらすじ以上のことはほぼ起きず、ひたすらヒッチハイクを繰り返す陽子の道中を追いかけていきます。
前半の陽子は、見ていてイライラしてしまうくらいのコミュニケーション下手。ちょっとした会話はもちろん、お礼や挨拶さえままならない。ヒッチハイクで乗せてくれたり、食事をご馳走になっても、態度がまぁーひどい。これじゃあ気分を害すのも分かるわと、観ている側も不快指数高め。
でも、少しずつ少しずつ、陽子の心のリハビリが出来てきて、少しだけ頑張ったり、めちゃくちゃ頑張ったり、そんな後半の陽子は応援したくなりましたし、きっと何かが変わったのだと感じることができました。
道中、ヒッチハイクで出会う人々は、めちゃくちゃ良い人もいれば、めちゃくちゃクソな人もいるし、まぁまぁ嫌な奴、普通の人、色々。でもどれも極端ではなく、どんな人なのか説明もほぼなく、風景や少しの会話で読み取っていく。この辺りの表現が、車に乗っている陽子とリンクして面白かったです。
とにかく風吹さん夫妻が良かった…心が浄化されます。
すごく面白いかでいうとそうじゃないけれど、なんだか印象にとても残る作品でした。菊地凛子さん、さすがでした。
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