「何を述べたいか、映画の主義主張がはっきりしない…。」658km、陽子の旅 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
何を述べたいか、映画の主義主張がはっきりしない…。
今年265本目(合計916本目/今月(2023年8月度)4本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。
諸般の事情で、とあるサービスエリアで取り残された女性が、ある目的地に向かってヒッチハイクをするお話。
逆にいうとその繰り返しで目的地に到着する「だけ」の展開になるし、他の方も書かれている通り、コミュニケーションに難を抱えているのか(ただ、この点はある程度映画を見ているとその理由ははっきりする。「東北地方で起きたリアル日本の出来事」は何でしょう?)それらの点がよくわからないので、見る方によってはイライラするのではなかろうか…というところです。
コミュニケーションに難を抱える方は多かれ少なかれ存在するし、それは正式な診断を受けている方はもちろん、そうでない方も、いわゆる性格的な「はずかしがり屋」のレベルからいろいろあるところ、この映画のそれは描写が極端な上に、方言(東北方言)まで混じるため聞き取りも難しく、「ある意味で」サイレント映画に近いという珍妙な枠ではあります。
かなり見る方によって解釈が分かれる上に、「参照されている、東北地方で実際にあった出来事」をどこまで映画に解釈に入れるか等、さらに「東北地方特有の文化」をこっそり参照している部分もあり、かなりの難易度ではなかろうか…というところです。これらが重なった結果、「映画の主義主張がはっきりしない」(かといって、東北地方の観光名所を巡る趣旨のいわゆる癒し系映画という解釈も無理)というところです。
採点は以下の通りで、4.0をそのままにしています(四捨五入等の処理は行わず)。
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(減点0.3/ヒッチハイクと道路運送法)
・ ヒッチハイクは対価をもらう等すると、法に触れます(白タク行為に当たる)。ただ、一般的なもので、かつ対価も「地域のお土産」といった対価の「価値が観念しづらいもの」に対しては事実上容認扱いですが、この点はエンディングロールで断っておくべきではなかろうか…と思えます。
(減点0.4/ヒッチハイクと事務管理(民法))
・ ヒッチハイクも、当事者の意識がもうろうとしている等のケースでは、それが事務管理にあたるケースも出てきますが、その場合、民法上の事務管理のルールが適用されます。しかし、事務管理は任意に中止できず、「本人・相続人・法定代理人が管理できるまで」継続する義務を負います(民法700条)。
したがって、「ホテルのシーンと、その後電話がかかってくるシーン」は明確にまずいです(仕事があることは理解できても、それをもって事務管理を中止できるのではありません)。
※ なお、民法700条は「本人・相続人・法定代理人が管理できるまで」という扱いで、遺失物法等で「警察に届け出たらそれ以上は何もしなくてよい」等とあるのはその特則になります。
(減点0.3/墓地埋葬法に関する知識がある程度要求されてしまう)
・ 人が亡くなった後の「お葬式」を規律する法律ですが、実際には法はスカスカで「なくなったらお葬式をしましょう」くらいで、大半を「文化が違うのだから、個々都道府県でどうぞ」という「地方に投げっぱなし」の法律の代表例です(条例がいくつも存在する)。
この点、日本では火葬が一般的ですが、それをいつまで待つのか、あるいはどの儀式をどの順番で行うかなどは、地域によってバラバラで、法の趣旨(死人の冒涜行為や、生きている方の「活力」を奪う行為等)に反しない限りある程度自由なお葬式ができるようになっています。舞台の青森は特殊なお葬式のルールがあるようで、字幕が一部???になる部分があります。これはそのような事情です。
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