「対話が果たす正義」ワース 命の値段 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
対話が果たす正義
飛行機は突っ込まなかったとか
事前に知っていた人がいたとか
ビル関係者は、保険をかけていたとか
崩壊の原因は、巧みに仕掛けられた爆弾だったとか
実は米国という国家が、この事件に関わっていたとか
犯人とされる人々の技能では、操縦できるわけがないとか
陰謀論か、事実かの検証は結局、闇の中になるんだろうけど
本当にこれを計画した人がいたとしたら、人間の心を持ってはいない
いや、最早、人間ではないな
DS達が、金儲けのために簡単に戦争を起こし、ほくそ笑んでいる現代では
他人のために心労を尽くす人々の存在を知るだけでも、希望を見いだせる
事実を元に、これだけ多くの被害者の生の証言を、
全世界に知らしめたこの作品の意義は、到底計り知れないと思う
リアルな映像や叫び声等ではなく
淡々と当事者の言葉で、悲惨さを訴えていくこの構成は、共感できるし見事だ
じわじわと胸に迫り来るどうしようもない怒りにも似た感情が
この映画を、この事件を風化させない原動力になる
たとえ、裁判にしたくなかったから起ち上げた基金だったとしても、
5560人に70億ドル(148億円)も支払う米国って凄いと思う
どこかの国では、地震の復興資金も当事者に届かず、その地域はほったらかしにされ
枠の被害者にも、アレが原因だったとは、ほとんど認定しないのとは
まさに、雲泥の差だ
プログラムに参加しなかったのが、わずか94人
勿論、金額的にも内容的にも不満を持ってる人が多いのは分かるけれど
この基金が、2003年に終了するも 2011年 2019年に
再開され、延長されたというのは驚きだ
ケン・ファインバーグが主役なのはわかるし、マイケルは適役だったのだけれど
チャールズ・ウルフこそ、ヒーローでもある
2人の絶妙な関係と、大人の対応が、この基金の成功へと導き、多くの人が救われた
心残りは、対象者として認められなかったゲイの存在だ
でも、久々に、いい映画を見た気がする
