「学び考えるきっかけになる」ワース 命の値段 moroさんの映画レビュー(感想・評価)
学び考えるきっかけになる
復興の背景には倫理的に非常に難しい問題があることを学べました。
驚くべきは、この過酷な仕事を無償で引き受けた弁護士がいて、これを成し遂げたことです。
アメリカ同時多発テロの被害者遺族を救済するために立ち上げられた補償基金プログラム。
プロジェクトの特別管理人ケン・ファインバーグは、補償金額の算定式を決定し、被害者遺族の80%の賛同を得るために奔走します。
宣伝文から想像していたのは、人の命を値段をつける算定式の決定プロセスでしたが、それは冒頭であっさり片づけられます。
本作の大部分は、算定式は変更できないけれど、どうにかしてこの条件を被害者遺族に受け入れてもらうために奔走する内容です。
最終的には80%を超える申請を得るに至りますが、主人公が特別管理人として補償基金プログラム制度にどの程度影響を及ぼせたのかよくわからないままなので、大きなカタルシスは感じられませんでした。
ケネス・ファインバーグ氏のインタビュー記事を読んでみると、映画に盛り込むべき大事なエピソードが他にもあったのではと感じられます。
エンターテイメントとして人にお勧めするのは悩ましいところですが、個人的にはとても勉強になる作品でした。
鑑賞後にいくつか関連記事を読んでいると、東日本大震災や阪神・淡路大震災に照らした議論や分析がなされていることもわかります。
いまだ最適な答えがない難題に向き合っている法律家の方々には尊敬の念を覚えます。
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