きみの色のレビュー・感想・評価
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大体カトリック学校のせい
2024年劇場鑑賞217本目。
予告で見た時は面白そうだなと思ったのですが・・・。
人の印象を色で感じられるいわゆる共感覚の持ち主と、クールビューティーだが学校を突然やめた子、友達いない男の子がバンドを組む話。それぞれに色々思っていることがあるのですが、なんか映画の割にはあんまりそこをはっきりさせない。なんとなく誰が誰に好意を持っているとかわかるんだけどそこをあえてはっきりさせない。なんかもどかしい映画でした。
問題の半分は主人公がカトリック系に通っているからなだけな気が・・・。
それぞれの色を持った3人の青春の1ページ
終始穏やかな映画でした。
特別に何か大変な事が起こるわけでもなく、高校生3人のそれぞれの思いを描いた優しい作品です。
何より絵がきれいです。
そして声が良かったです。トツ子、きみ、ルイの声を担当した鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖。この3人の声がそれぞれのキャラクターにとてもマッチしていると思ったのです。
きみやルイに色を感じても自分自身の色が見えないトツ子。
勝手に学校を辞めた事をおばあ様に言えないでいるきみ。
母が願う将来と自分の好きな事の間で悩むルイ。
この年代は様々なことで悩むのは当然ですよね。
離島で過ごすバンド活動を通して生まれる友情や恋心。お互いのことを語り、励まし合ってゆっくりと進む時間もまた大切なものです。この年代が様々なことで悩むのは当然なのですから。日吉子先生のような良き理解者がいたことも良かった。
学園祭のライブも今の自分を表現する大切な場所。見に来てくれたおばあ様や母親にも気持ちは届いたでしょう。
新しい生活に旅立つルイと見送るきみも様々な経験を通して更に成長して行きますね。
トツ子もようやく自分の色を見つけたようだし、ここから先の自分が楽しみなのではないでしょうか。
それぞれの色をまとった3人の未来を感じる穏やかな作品でした。
いい映画を見ました
幸福感を煮詰めたような映画
作中に数回出てくる「ニーバーの祈り」というのはアメリカの神学者ラインハルト・ニーバーが書いたもので、少し長くなるが「変えなくてはならないものを変える勇気を、変えられないものを受け入れる冷静さを、そして変えられるものと変えられないものを見極める賢明さを、神様、私にください」。これは、自分の居所を求めつくり出そうとしている人のための警句のようなものだと私は解釈している。
さて、この映画では、嫌な人間は一人も出てこないし、主人公たちを追い詰めるような逆境も描かれない(きみ子の退学はそれにあたるが詳細は示されない)主人公たちは、長崎の美しい風景や、街並み、充実した学園生活などに囲まれ経済的にも精神的にも安定した環境で暮らしている。でもそれは与えられたものであり自分たちからもとめもとめられたものではない。だから主人公たちは自分たちの居所を探して疾走する。それが「わたしたちの色」探し、つまり自分のパーソナリティとそれを受け入れてくれる仲間、そして「わたしたちの音」探しなのである。
主人公たちの望みは実現し、観客である我々も束の間の幸福感に浸ることができる。それは山田尚子の他の作品でも同じ(もう少しにがい味のものもある)。彼女の作品は幸福感を純粋無垢に取り出して差し出してくれる装置であるということなのだろう。そんなの押し付けだししょせんは絵空事だっていう人もいるかも。でも音楽であってももしかして絵画作品なんかでも幸せな瞬間を作り出してくれるクリエーティブっていうものはあるわけで得難い価値がある、四の五の言わないで黙って受け取りなさいよって思うんだが。
ソウルカラーが繋ぐ友情
相手のオーラを色で感じることができる主人公のトツ子。名前も見た目も地味な女子高生だけれども、ソウルが放つカラーに導かれ、バンドを組むことに。
透明感のあるアニメーションは、美しい。トツ子から見える相手のソウルカラーの表現は、日本ならではの表現。水彩画ベースでCGでは表現できない質感を感じる。
声の方では、高石あかりの演技が光る。エンドロールで作永きみの声が彼女だと知ったが、役にベストマッチ。クールでありながらも、自分を見失っている思春期の高校生の心情が、こちらに伝わってくる。
山田尚子監督、脚本が吉田玲子というタッグなのでハードルを高めに鑑賞してしまうが、まあ、さすがといったところでございます。
求められる知識はやや高そう。ただ、高石あかりさんのファンならぜひ。
今年313本目(合計1,405本目/今月(2024年8月度)38本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
ここでは否定的な感想が多いみたいですね。確かに理解はできるものの個人的には良かったかなといったところです。
たしかに「多くのことを詰めすぎ」という点はあります。キリスト教文化に始まって音楽の話に飛んだり、一方でこの映画の舞台は長崎ですが(このことは上映前に「本映画は長崎をテーマにしているので長崎に旅行においで」みたいな宣伝CMがある)、一方で長崎市なり地名が一切出てこない等色々あろうかなと思います。
ただ、この年代の子が「息苦しい」キリスト教学校(ミッション系学校)からちょっと「飛びぬけて」音楽活動を頑張ってみるという趣旨自体は理解できるし、ミッション系学校というのは長崎を象徴するシンボルなので(同じ被爆地でも長崎のそれは、キリスト教との関係(教会の破損ほか)とつながって議論されることが多い)、そこは許容範囲かなといったところです(ただ、「告解する」(こっかいする)は、ある程度の国語力がないとこの字を思いつかないのでは…)。
個人的には音楽好きなので音楽を扱うテーマの映画は基本的に選ばず見に行くし、ましてこの映画は高石あかりさんが声をあてられているので意識的にチョイスしたのですが、基本的には良かったかな、といったところです。確かに「わかりにくい」点はいくつかありますが、迷ったらおすすめといったところです。
評価に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/高校生が勝手に退学届けを出すことはできるか)
そもそも未成年者は親の同意なく(お小遣いの処分等認められた範囲を超えて)法律行為をすることができず、取消し原因になります(民法参照)。一方、「現在の」高校では未成年者と成年者が(高校3年を中心に)混在しているのは確かですが、公式サイト等みても、「あの子」が(ネタバレ回避)いくつなのかは書かれていないのですよね…。
また、高校が「準義務教育」であるという事情から、たとえ成人していたとしても退学希望に対しては法律上「校長の承認を必要する」という扱いです(法律上の規定)。これは、高校卒業が社会人の一歩を踏み出せるか否かという点に大きくかかわるが故に、成人していても一応「校長の承認」にかからしめて、「成人しているんだから好き勝手にできる」という民法の大原則の例外を作っている例です(この事情が高校の特殊性にあることは繰り返すまでもない)。
この点、ちょっと解釈が変かな(未成年者だとするとそもそも取り消しうる行為なので、心裡留保や共通錯誤等が問題になっても常に未成年者は保護されるし、成人者としても上記のように学校の校長から一通り確認は取られる)といったところです。
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無数の色に無数の名前
映画館告知でめちゃくちゃめちゃくちゃ流れてドッ転ソーメンねー ミスチルねーくらいしか思ってなかったのですが不意に見に行きました
予告時点でおしゃれ雰囲気映画かなーと思ってましたがそんな感じでしたね
いきなり予告でも言ってた色について説明するんだなーと最後のエピローグで語ると勝手ながらに思ってました😆
トツ子は人を見ると色が見える設定は、ァー面白くなりそう!その人の本質的なものがふわっと見えるのか?それで苦しんだりしながらも自分の色を探していくのかー?と思っていました が淡々と進んでいきましたね(笑)
日常アニメが好きな人には良い雰囲気ありますので楽しめると思います
学園祭✕バンドはこういうアニメだとありがちというか王道なんですかね
出番前に一言二言話すから演奏シーンはめっちゃ良かった(笑)王道ですな
歌詞は何言ってるか全くわからなかっただけで😵
水金地火木〜のイントロ凄いかっこいい
あれだけでも十分です
終わり方も悪くなかったかなと
ただ…!個人個人の葛藤やバンドの下りがアッサリアッサリだったのがなー ぶつかり合ってギスギスは別にだけど
お互いの苦悩を乗り越えた先の最後の演奏シーンならカタルシス増したのになぁ〜
自分に素直に
生きていれば、いろんなしがらみがあるけれど、
自分に嘘をついたり自分をごまかしたりして生きていくよりも、
自分に素直に生きていこうぜ・・・的なメッセージかなと感じました。
というのも、主人公トツ子は人が「色」として見える能力をもっていることから
トツ子をごまかすことはきっとできないんですよね。
で、トツ子の接する人がことごとく、トツ子には素直だったりする。
トツ子は、きみのために嘘をついてりするのに。
ただ嘘ってわかりやすいのがトツ子というキャラなんでしょう(笑)
前半は主要キャラ3人の関係性が築かれていき、
後半になって、それぞれの深掘りがなされていく。
そして私は本作のメッセージに気づく(これは人それぞれの感じ方でしょう)。
で、心にじんわり沁みる。
そんな作品でした。
きみ=君=作永きみ なのかなと思いました。
ルイも出てきますが、基本、トツ子ときみの物語なのだと思います。
見事に3人の役者が演じきっていました。
特に髙石あかりの新たな魅力を見つけた気がします。
アニメーションも劇中音楽もエンディングのMr.Childrenの楽曲も全て素晴らしかったです。
多くの人々に本作が届くことを祈っております。
ふわっとしてる
長編アニメ作品は大好きなので、公開初日にさっそく鑑賞して来ました。優しい絵柄で紡ぐ優しい物語でしたが、率直な感想としてはちょっと物足りなさが残る印象です。
ストーリーは、全寮制のミッションスクールに通うトツ子は、幼い頃から周囲の人が放つ色が見え、同じ学校に通う少女・きみの放つ美しい色に魅了され、彼女が働く古書店で偶然出会った少年・ルイとひょんなことからバンドを組むことになり、それぞれに悩みを抱えていた3人は音楽を通じてしだいに心を通わせるようになるというもの。
トツ子は、人の色が見えるものの自分の色は見えず、キラキラした色を放つ他者、とりわけきみに惹かれます。自分のありようを模索するかのようなトツ子にとって、きみは憧れの存在であり、そこに自分でも気づかない恋愛感情のようなものがあったからかもしれません。しかし、祖母と二人暮らしのきみも、学校を辞めてしまったことを祖母に言えずにいます。離島の医者の息子であるルイも、跡を継ぐことを期待され、好きな音楽は続けたいことを言えずにいます。
この3人の偶然の出会いとバンド結成が、それぞれの閉塞感から抜け出すきっかけとなります。音楽を通じて心を通わせる姿がまぶしく、青春の1ページを彩るこの思い出は、この先の人生で大きな意味を持つことになるのでしょう。似たような経験をもつシスター日吉子が、3人の活動を陰ながら応援する姿もなかなかよかったです。
主人公のトツ子は見た目は地味で、それほど魅力的に映らないのですが、彼女の純粋さや人柄のよさが物語を牽引し、それにつれて輝きを増す感じがとてもよかったです。そんなトツ子のバックボーンが垣間見える、中盤での帰宅シーンが印象的です。学校での規則違反を咎めることなく、その行動の裏にある思いに寄り添う母や、学校に戻るトツ子にお土産をどっさりと持たせて駅で見送る両親の姿から、トツ子が愛情いっぱいに育てられたことがうかがえます。
一方で、きみやルイの背景の掘り下げが浅く、この二人の悩みに共感しにくかったのは残念です。また、クライマックスとなる演奏シーンも、歌詞が聴き取りにくくて3人の思いを受け止められず、雰囲気だけしか味わえませんでした。他にも、トツ子の「人の色が見える」という特殊能力が、思いのほか機能してなかったような気がします。そんな感じで、全体的にふわっとした印象の作品です。
とはいえ、鑑賞後に振り返ってみて、タイトルの「きみの色」は、「あなたの色」のほかに「きみちゃんの色」という意味もあったのだと気づき、作品の印象がちょっと変わりました。トツ子が、きみに惹かれて見つけた自分の色は赤。そこに、きみの青、ルイの緑が加われば、光の三原色です。この3色がどんな色でも作り出せるように、3人ならどんな未来も描けるというメッセージを受け取った気がします。
主要キャストは、鈴川紗由さん、髙石あかりさん、木戸大聖さんで、声優ではありませんが、まずまずの演技で悪くなかったです。脇を固めるのは、新垣結衣さん、悠木碧さん、寿美菜子さん、戸田恵子さんら。
物語は壮大でなくてもいい
山田尚子監督の作家性が存分に発揮された作品で、合う合わないが大きく出るので低評価レビューを書き込まれている方がいるのも理解できます。
物語の規模感や起承転結の波が小さく、凪いだ世界観の中で観客側が想像力を膨らませる必要があります。
物語の推進力になる部分をあえて語らないことで空白が生まれ、観客一人一人の中にそれぞれの『色』が塗られていくのです。
それが合わないタイプの人にとっては退屈極まりない作品だったことでしょうが、個人的には大満足でした。
作画や音楽の点でも映画館で鑑賞する意味は大いにあるので、IMAXで観たことも正解だと思っています。
大迫力でグリグリ動き回る絵と爆発音だけがシアターで鑑賞する理由ではない、というのがよく分かります。
賛辞を送りたい
可愛くて、楽しくて、青春っん!って感じで、よい作品でした。
いろいろ修飾した賛辞を送りたくなりました。
「可憐な」「珠玉の」「感動の」などなど。
恋愛も、心の傷も、コンクールも、バンド対決も、不治の病も、世界の危機も要素にないので、何かを成し遂げるような、大きなドラマのない、捉えどころのない作品に思われるのかもしれない可能性はある。
けれども、友情とか、懸命に生きてるとかいう学生時代の輝きがしっかりと描かれていて、彼女たちの「生」に寄り添って、葛藤や喜びなどの感情を「共に体験する」フィルムに仕上がっていたように思います。
実写なら『1999年の夏休み』『エコール』『ピクニック at ハンギング・ロック』のようなスリラーなんだけど、どちらかというと思春期の心の揺れ動きに軸がある映画。
アニメーションなら『ゆるキャン△(TV一期や映画)』『ぼっち・ざ・ろっく』、山田監督自身の撮った『けいおん!』『たまこマーケット』のように、少女(少年)たちがわちゃわちゃ騒ぎながら笑いながら日常を過ごす楽しさを描いた作品などが、近いのではないだろうか。
歌や演奏のシーンから、作画・演出とも逃げてないのがよかった。
指の動きなどを省略したり、イメージの止め絵を使ったりなどという作画枚数を削るテクニックは用いず、しっかり歌い、楽器を弾き、踊り、表情からつま先まで感情をほとばしらせる演技をさせていました。
髙石あかりとガッキーは、声優としてもいいっ!
声質が合っていた。
それから猫がたまらない。
白とトムキャットの2匹。
ちゃんと猫の動き、形状で、猫にも演技をさせていた。
唯一文句を言いたかったのは、主題歌のミスチルが(いい歌だけど)作品から浮いていたってことくらい。
劇中歌「水金地火木土天アーメン」がみんな印象をもっていっちゃうのだ。
エンドロール後にもシーンがあるから、明るくなるまで席を立たないことを推奨。
それと、歌詞を聞き取りやすいよう&ちょっとした波の音などで世界に浸れるように、音のいい劇場をお勧めします(だからIMAXもいい選択肢)。
神様はなにも禁止なんかしてない
僕なんかは、高校までのルールと、その後制服を着ることをやめてからのルールが真逆であることに少々戸惑った人間だ。
女性ならばさらにそうなのではないか。
高校までは、化粧やマニキュアは禁止され、廊下を走るのを禁じられる。
生徒は「穢れる」ことを禁じられている。
社会に出ると、それがすべて逆転する。
この映画では、修道院女子校を舞台にすることで、穢れから極端に切り離された無菌環境と、社会の対比を優しく描くことに成功している。無菌環境も、俗社会も、互いに必要とし合っている。
かつて、「天使にラブソングを」で黒人音楽を白人修道女が楽しそうに歌ったような逆説感が、この映画では通奏低音として流れていると言ってもいい。
言語化超むずい。
一言で言うと、すごい面白いかつ、あとからじわじわ効いてくる良い映画。
映画館で観る必要はない。アニメで観たかった。
この映画は、トツ子、きみ、ルイという3人の若者が音楽を通じて心を通わせ、友情やほのかな恋が芽生える物語です。美しい映像美と繊細なテーマ性がこの作品の大きな魅力であり、特に山田尚子監督による水彩画のような映像表現は見る者の心を洗い流すような感覚を与えます。
しかし、この映画は「日常映画」としての難しさも抱えています。劇的な展開を求める観客には物足りなさを感じさせるかもしれません。特に、映画館で観ると、日常の一コマを長時間映し出すシーンに対して、現実に引き戻される瞬間があり、非常に長い「映画」だと感じてしまいます。この点は、1クールのアニメであれば徐々にキャラクターたちの成長を描くことができ、よりリラックスして楽しめるところでしょう。
音楽がテーマであるこの映画では、映画館での音響体験は価値がありますが、映像体験としての価値については、他のアニメ映画と比較してしまうとやや疑問が残ります。宗教的なテーマも含まれており、クリスチャンが通うミッションスクールを舞台にした、数々起こる「小さい奇跡」には少し違和感を覚える場面もありました。
総じて、この映画は日常の美しさやテーマ性を評価できますが、映画館で観る価値があるかどうかは観客の求めるものによります。非現実を求める方にはおすすめできませんが、予告編やレイトショーで試してみる価値はあるかもしれません。映画館での鑑賞が難しい時代にであり、この映画は自宅でゆったりと観るほうがその魅力を十分に感じられる作品かもしれません。冬の時期に一息つきたい方に特におすすめです。
視覚要素はとても良い 脚本要素は△
良かった点
作画、背景のデザイン、演出、色彩は良かった
背景のデザインと色彩美は右に出る者がいないと思えるくらい良かった
制服や校舎はとても可愛かった
宗教観が上手く融合されているのも良かった
題材に反して内面の描写を抑えていて野心的だった
良くなかった点
登場人物に感情移入できない
脚本がイマイチ
何を伝えたいのかわからない
バンドの話が蛇足になっている
心情の変化が急でついて行けない
エモくて美麗なシーンを、薄っぺらい脚本、雑な設定で繋ぐ
周囲の人が綺麗な単色に見えてしまう「能力?」をもつトツ子さんが、ひょんなことからバンドを組んで青春を謳歌してしまうお話。
まず特筆したいのが、柔らかなタッチの線画で描写されたキャラクター達です。大変繊細で美しく自然な仕草で動きます。素晴らしい!
特に主人公のトツ子は、まるでちょっと前の少女漫画に出てくる世間知らず夢みがちな王女様の様で、ロマンチックを絵に描いた様です。
なお親御さんの髪色からして遺伝的に彼女が金髪なのはとても変ですがシスター(学校の先生)含め完全スルーされてるあたり、おそらくファンタジー要素が強い作品なのでしょう。ぼっちざロックのぼっちゃんがピンク髪なのにむしろ目立たない・・・のと同様です(笑)。
人がひとつの色彩で見えてしまうこと、つまり人と違う自分に悩み、ミッション系の高校で神に祈ってるトツ子ですが、綺麗な青い色に見える同性の同級生、きみちゃんに憧れます。
で、その同級生が何故か?学校やめちゃって、彼女が本屋でバイトしていることを小耳に挟んだトツ子は彼女を探しあて、そこに繊細そうでオタクっぽいこれまた少女漫画に出てきそうな美少年と、なんだか良く分からない理由で出会い、自身は大して楽器も弾かないのにバンドするって唐突に発案し、本日会ったばかりの少年も何の抵抗もなく加わるという脚本的大胆さには、ちょっと仰天しました(笑)。
彼らが出会うシチュエーションが、食パン咥えた遅刻寸前のヒロインが角を曲がったら男子にぶつかり、学校の朝礼で転校生の男子に鉢合わせする・・・ってくらい強引なのは少女漫画?の王道なので百歩譲って笑って許します。
しかし、投げっぱなしで脚本に絡んでこない「伏線もどき」やそもそも理屈が通らない「雑な設定」が沢山あり過ぎ、結果として脚本の底が浅くなり非常に残念に思いました。
それらをネタバレしないレベルで箇条書きにします。ちょっと怪しいので、ネタバレ設定にはしときますけど。
・人が色に見えるトツ子さんは、仲間2人が心の奥底で悩んでいたのが分からないくらいの表面的な能力なのか?そもそも綺麗な色が見えるだけだったら彼女のメイン設定にする意味ありますか?
・影平君が古本屋のきみさんに最初固執したのはなぜ?一目惚れかと思ったら結果的に個別の恋愛じゃなさそうだ。そして女性に対してもむしろ社交的で頭が良いのに、ほかに友達がいない理由がよくわからない。
・きみさんが保護者と思われる祖母に断りなく勝手に高校辞められないでしょう。仮に彼女が保護者の署名偽造して退学届け出しても学校からまず祖母に確認の電話連絡くらいありますよ。ここはファンタジーじゃダメ。
・降雪時に基本暖房の無い広い空間はいくら室内といっても氷点下近くになり、暖気するのは難しくありませんか?なぜ石油ストーブのひとつも置いてあげられないのか?実はセントラルヒーティング、もしくは蝋燭がとても暖かいのかね(笑)。
・おそらくAMラジオ局の気象情報受信しようとしてるのにFM受信用のアンテナ動かし調整してしまうメカ音痴ぶり。影平君はそんなボケじゃない。
・関係ないけど画面に虫の歩く影うつってませんでしたか(うちの映画館だけ?)
ひとつひとつのシーンは非常にエモく美しく胸を打ちました。コンサートのシーンとかは特にです。
しかし、「そういう場面を描きたいがために、強引に脚本を書き設定は後付けしました!」って思われても仕方ないくらいの雑さが完成度を著しく下げているのではないか、と正直思います。
期待しててハードル上げすぎちゃったかな、と少し反省してます。
では。
変えられないと思ったものも…
優しい世界で自分の色探し
まさかのBorn Slippy!牛尾憲輔だしオールナイトイベントあるし(?)、ほぼ今年のソニマニ!! なんて冗談半分はさておき、大好きな山田尚子監督の作家性が『聲の形』の頃からなんら変わっていないことを感じられてよかった。がんばれーー!!!
音楽『けいおん』✕ 青春『聲の形』= 山田尚子監督 ✕ 吉田玲子脚本による精神的姉妹分は、目に見える葛藤の掘り下げなど、幾分か薄味だけどかわいらしい。生きてく中で自分じゃどうしようもないこともたくさんあるけど、最初から全部諦める必要なんてなくって、自分で変えられるものは変えてこようよ、って。本当に「好きなものを好きと言える勇気」を彼女たちが持てたのなら嬉しいな。大人になるつれて今の時代・社会に染まっては、空気を読むことに慣れて自分を、自由を失くさないように。
パレットいっぱいに好きな色広げて、混ぜれば新しい色見つかるかも…!優しくてあつまたかくて、そんなステキな魔法に癒されるし心洗われる思いだ。つまづいたって苦しくたって、それぞれの想いを抱えた仲間と好きな音を奏でれば、きっとそれが寄り添ってくれてまた歩み出せるから、十代の将来への不安と孤独も手に抱きしめて見てる方までハッピーオーラ全開!! アニメーションは目を奪われるほどすごくきれいだし、ボイスキャストも魅力的で、最後の最後までフィールグッド。
水金地火木土天アーメン♪相対性理論とかが歌っていそう!いくら聖歌とかに慣れ親しんできて素養バックボーンあったとしても音楽始めたてでこれは上手すぎ・キャッチーすぎだし、中高軽音コンテストwe are SNEAKER AGES スニーカーエイジで優勝できるかは分からないけど、絶対にいい線いけるだろというレベルの高クオリティでノレた。そりゃそうだ、細かいことは抜きにしてロックもポップもそこに真摯な思いがあるのならそれは聖歌。
ミスチル、久しぶりにこういう軽やかなタイプの楽曲でのタイアップ嬉しい!昨今やたらと大作がましい作品に、仰々しいタイプの楽曲でのタイアップが続いていた気がするから、これは映画館で聴くの楽しみにしていた。そして、実際聴きながらコレ書いている。編曲には牛尾憲輔が名前を連ねていて、最後まで作品の世界観を崩さない。
ニーバーの祈り
神よ。変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
P.S. ただ川村元気("原案・プロデュース"etc.)作品あるあるな薄味感も?
GOD almighty
しろねこ堂
勝手に関連作品『シングストリート』『ホールドオーバーズ』『恋は光』
悪くはない、けどストーリーに
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