「そんなささいなことで?」きみの色 作務衣もんさんの映画レビュー(感想・評価)
そんなささいなことで?
純文学とエンタメを分類するのに「刺激的にしようとしているかどうか」という視点を個人的に持っている
その点では今作は私にとってエンタメではなかった
ミッション系の高校に通うトツ子。密かに憧れる同級生きみちゃん。学外で交流を持つルイ君
三人がバンドを組む過程が淡いビジュアルと、
それとは真逆に思えるようなリアルな人物描写によって描かれていく
きみちゃんは序盤で唐突に自主退学してしまう。そのことを保護者にも告げずに
なぜ彼女は退学したのか? 保護者との間に何かあるのか?
観客が当然抱く疑問は明かされぬまま映画は進んでいく
エンタメであればこの「謎」が求心力となり、答えが明かされるところが一つの刺激となるだろう
しかし、今作では取りようによっては肩透かしとも思えるような展開が待っている
だが、私にはそれこそが今作の持つ魅力そのもののように思えた
現実で誰かが悩んでいるとき「そんなささいなことで?」と言えるだろうか?
刺激的ではない。ぬるま湯につかる心地良さを求める作品でもない
私は彼女達のそのままを見せてもらったのだ
コメントする