「うす塩味なほのぼのした作品」きみの色 おでんさんの映画レビュー(感想・評価)
うす塩味なほのぼのした作品
ストーリーは、全寮制のミッションスクールに通う女子高生2人と、離島に住む男子高校生が3ピースバンドを組んで、高校最後の学園祭で演奏する、って話。
山田尚子監督らしい、柔らかで繊細な絵と演出。タイトルの「色」については、まああまり気にしなくてもOK。同じく色をテーマにしたP.A.Works「色づく世界の明日から」と同じ長崎が舞台で、海とミッション系女学校の雰囲気は癒されます。
あと、キャラクターが「萌え」ではない、ってのが斬新でした。デデデデやルックバックでも感じましたが、特に女キャラクターを必要なく盛らない、ってのは最近の流れかもしれません。ルッキズムへのホワイト化がアニメにも、ってか、アニメから始まっているのかな〜。
女・女・男の3ピースバンドが学園祭でライブ、ってプロットを聞くと古いオタクには、ドロドロ三角関係が目に浮かびますが◯原◯希はいないので、安心してください。
山田尚子監督のオリジナルの長編は今回が1作目だと思いますが、こういう作風がやりたいんだな、ってのは分かりました。あ、たまこマーケットはオリジナルか〜。だとすると、やっぱりこの人のオリジナルは、こんな感じの「ゆるふあ」な作品なんですね。
リズの時は、ドロっとした人の内面も上手く綺麗に描くし、平家物語もオチはイマイチでしたが、途中のアクセントは上手かった。原作付きの方が活きる監督さんですね。
ギターヒロインの雰囲気がWhite Album2の冬馬かずさに寄せてたり、白ネコが出会いを誘導したり(「耳をすませば」ではデブ猫)、何より「スーパー」アイスクリームはセルフオマージュですかね〜これには椅子から落ちそうになりました。
聖書の引用やミッション系女学校って設定なんかも、なかなか凝った設定で、うす塩味ですが、エンタメ的には楽しめる作品かと思います。