「in the pocket」きみの色 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
in the pocket
3月に東宝がやっていたシークレット試写会に当たり、どんな作品が来るんだろうとワクワクしながら待っていたらまさかの「きみの色」。
2024年公開作の中でもかなり楽しみにしていた作品だったので驚きましたが、まだ公開日決まってない作品をいいんですか!?と心昂りながらの鑑賞。
色が見えるトツ子がその見える色にシンパシーを感じた子たちを誘ってバンドを組むというのが、学生ならではの勢いが感じられて好みでした。
きみちゃんの色にビビッときて、ルイくんの色にもビビッときて、そんな2人と自分を離してなるものかー!と勢いでバンド結成を持ちかけるってのが良いなぁってなりました。
ルイくん離島住まいだから2人で週末に島に行って音合わせするってのも小旅行みたいで良いですし、船酔いしたトツ子を膝にポンポンしてら膝枕してあげるきみちゃんがキュートすぎて胸撃ち抜かれました。
聖地巡礼したくなるくらい街並みが落ち着いていて、長崎が舞台ということもあり未到の地に行ってみたいという気持ちが高まりましたし、また詳しく調べて訪れてみたいなと思いました。
3人それぞれがちょっとした悩みを抱えていて、それを吐露したり、音楽に乗せてみたりでちょっとずつ解決していく流れが良かったです。
きみちゃんの学校中退やルイくんの家督の後継ぎだったりと少し特殊な悩みも全て曲に反映させていくスタイルも高校生という大人とも子供とも取れない曖昧なラインにいるからこそ思うことも多いよなぁとしみじみさせられました。
音合わせしたり、作った楽曲を共有したりするのはいかにもバンドだよなぁってなりました。ガチガチの音合わせってわけではなく、ゆるっと合わせているのもなんか雰囲気に合っていました。
3人揃って合わせて右往左往してみたり、普段のことを喋りあってみたり、ハプニングとはいえ合宿にしてみたりと特別な時間をこれでもかってくらい味わってる3人がとっても羨ましくて尊かったです。
演奏シーンがとても良くて、シンセの音が響きながら小刻みにステップを踏みたくなるようなサウンドは普段聴くジャンルとはまた違うのでとても新鮮でしたし、それでいてリズムから伝わる楽しさがとても好みでした。
仁王立ちってわけでもなく、かといって動き回るでもない、ライブ観てるわ〜ってなる絶妙なラインを突いてくる感じも好きでした。
水金地火木土天アーメンはもう脳内でリピートされまくってますし、歌唱という面で高石さんの新たな一面が観れてとても良かったです。
歌詞の日本語ってこんなに自由なんだって思えるくらい言葉遊びが多くて好きです。
"くるくる回ってきらきらとうとつ"だったり、"迷ってさまよって"だったり、"ふたりでたべたいな こってりラーメン"と韻を踏みまくってテンポが良いですし、いつ何時でも口ずさんでしまうくらいにはわたしの脳天 土天アーメンです。
あるくはしっとりしたバラードできみちゃんの考えだったり行動だったりが色濃く反映されていて聴き入っていました。
反省文〜はサイケデリックな感じ全開でこれまた体がユラユラできる曲でした。
体育館の微妙な音の響き具合もリアルでしたし、歪みまくってるわ〜と謎に嬉しくなりました笑
自分もステージで演奏した経験があるから、ステージに立つ前までは不安でも、立ってみたら広がる景色が本当に美しくてノリノリになっちゃうよなぁってなりましたし、生徒たちも先生たちもワクワクしながら小躍りなんかしちゃって観ているこちらも肩がユラユラしちゃうくらいには没入していました。
日吉子先生が過去にロックをやっていた事を言って、めちゃくちゃギターのリフについて語るシーンとか誰しも若い頃を思い出しちゃうんだよなぁと思いました。
やっぱオタクくんもオタクちゃんも好きなことに対しては無意識のうちに早口になっちゃうのはあるあるすぎて頭ブンブンしてしまいました。
トツ子がくるくる回って自分の色を見つけたというのも小さな成長が感じられたのもとても良かったです。
トツ子が色を見たきっかけのバレエをしながら思い出すってのも回想込みで良いわ〜ってなりました。
最後のしばしのお別れのシーン、思いっきり頑張れ〜!って叫んで見送るシーンはもうなんかグッときた。10代、学生ってやっぱ特別だよなと改めて思いました。
ミスチルの「in the pocket」がこれまた主題歌で優しく包み込んでくれるので、エンドロールの映像込みで最初から最後まで製作陣の優しさがこれでもかと伝わってきました。
スマホで撮った水金地火木土天アーメンを楽しそうに歌いながら幕を引いていく感じも愛らしくて最高でした。
サイエンスSARUらしいアニメーションがポップでとても綺麗で表情がコロコロ変わるのもとっても好みでした。
動いてない場面が無いんじゃ無いってくらいには身振り手振り動かしてくれていますし、色彩豊かで淡い感じの色合いが街並み含めて美しさ全開で素敵でした。
衝動的でこれぞ青春っていう特別なものはやはりアニメからしか取れない大切な栄養で、その特別を凝縮した今作に出会えて感謝しかないです。
体験できなかった事、体験してみたかった事を味わえるのがアニメの魅力だと思いましたし、「けいおん!」をリアルタイムで体験できなかった自分は当時そのままでもありつつグレードアップした山田尚子色を堪能できだという点でも満足度がぶち抜けて高いです。
とてもハッピーな気持ちになれました。今年ベスト候補です。
追)IMAXで初日に行ってきました。
大画面で綺麗なスクリーンで再び味わえて感動ものでした。物販もしこたま買っちゃって余韻に浸りまくってます。サイコー!
鑑賞日 3/9
鑑賞時間 11:00〜12:41
鑑賞形態 試写会にて