劇場公開日 2023年10月20日

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「メンタル回復薬になる素敵なストーリー」ふまじめ通信 momoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0メンタル回復薬になる素敵なストーリー

2023年11月24日
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びっくり仰天!
今日は風がきつくて映画館にたどり着く前に目にゴミが入ってしまい目薬をさしても痛かったのです。
内容は事前に確認せず素の状態で観始めると…
淡々と普通の人の日常が描かれつつも、どんどん惹かれてゆく。
遺骨になってしまった夫とホウキとちりとり、よもぎ餅を予約してるおばあさんとYouTuber、亡くなったお母さんと自転車のサドル、ミスマッチなものから生まれるおかしみとわかりみが良い。
夫もおばあさんもお母さんも俳優は出てこないが、そこに居ない人の人となりが想像されるところが巧み。

失恋の思い出には心の扉に鍵をかける。そして友人はその鍵を捨てる。鍵も現実にはそこには存在していない。それなのに確かに鍵は宙を待って捨てられるのだ。このシーンにはやられた!

みかん畑をソーラーパネルにしないためにみかん農家を続ける気概、エンドロールの時の歌の歌詞は隣の養豚所は半分ソーラーパネル♪というのが皮肉で面白い。
あくまでも半分は養豚所として残すという中途半端さが人間の思い切りのなさだ。

SNSでの自慢は自分でするもんじゃない。人に自慢してもらうもんだ。釣りの師匠と優等生の中学生の交流のシーンにも頷けた。

この作品に出てくるような普通の人を演じるのが一番難しくて俳優の力が試される気がする。

しょっちゅうタバコ休憩に行く人を理不尽に感じてる2人が卵休憩をしているうちに結ばれるというエピソードを語るシーンでは、ゆで卵を食べる様子を見てこちらも喉が詰まりそうな感じになりつつもなんだかうるうるしてきた。入館前に目が痛かったのも涙で洗い流されてゆく。

土曜日の朝は家族でパンケーキを食べる幸せ。すっかり忘れていた。思い出させてくれてありがとう。
今はその家族もなくなってしまったけれど、それでもその傷口にレモンは塗っちゃダメだよ。
歌詞が秀逸だ。

そして今後、一番頑張ろうと思えたのは、私が幸せにしてあげる、という心意気だ。
幸せにしてもらおうと思うから人生辛いんだ。好きな人のことは自分が幸せにしてあげるのだ。

真面目に頑張りすぎて鬱になりそうな人は何度でもこの映画を無限リピートして欲しい。
真面目に働いては疲れているだけの人にも癒しタイムになること間違いない映画で、家にDVDが欲しくなりました。

momo