劇場公開日 2023年5月19日

「“埃”にまみれていく様が作品にリアリティを与えている」最後まで行く 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5“埃”にまみれていく様が作品にリアリティを与えている

2023年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

 「新聞記者」「余命10年」などの作品で日本映画界をけん引する藤井道人監督が、今回リメイクのメガホンをとりました。しかも実力と興行力をあわせもつスター俳優の岡田准一が主演し、藤井監督とのコラボで俳優として進化し続ける綾野剛が競演と、この3人の掛け合わせの実現によって、その勢いと才能の結集を堪能できる意欲作であり、日本映画の新しい可能性を示す野心作でもあります。

 オリジナル版に敬意を払いつつ、プロデューサー、スタッフ、キャストとともに藤井監督が目指したのは、文化的な違いを考慮しながら新解釈し、時代性や社会性を大事にしたハードボイルドな作品だということです。そして、印象的なモチーフとなっているのが“埃(ほこり)”。岡田演じる刑事の工藤と、綾野演じる監察官の矢崎が、追い込み追い込まれながら次第に互いに“埃”にまみれていく様が作品にリアリティを与えており、光と影を意識した藤井組の画作りのセンスを感じさせます。

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和田隆