「外見至上主義の行きつく先」ホテル・ローズ 欲望の館 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
外見至上主義の行きつく先
『整形水』や『外見至上主義』などにも通じるテーマを扱った韓国のアニメーション作品。ルッキズムという言葉が一般化しているが、整形大国と言われる韓国において、それは非常に強固な価値観として社会に根付いているようだ。ローズというアイドルに憧れる女子高生がいる。彼女は夏休みの間、娼館で「ローズ」を名乗り働く。その「ローズ」と、同じ日から娼館で清掃人として働くことになった地味な女子高生は、そんな「ローズ」に憧れる。憧れの連鎖が悲劇を生み、消費社会の中で性的搾取の被害を引き起こしていく。
舞台となる古びた娼館は、社会の縮図として描かれる。全てが消費対象とする現代資本主義では人気が全て。女性は外見を売り物するしかない、それを買い叩く男がいて、金のない男は妄想の中で生きて歪んだ欲望を膨らませていく。それは娼館の中だけで起きているのではない、アイドルのローズとてそのように社会に消費される存在なのだ。エンディングの快活なアイドルソングがアイロニカルに響き渡る。
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