「良くも悪くも、フードコートのような作品」マイ・エレメント dmiさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くも、フードコートのような作品
「ディズニー」という概念を想像する時、人は何を想像するだろうか。
多様性?夢?自由?
色々あるし、昨今では上記を含むポリコレエンタメの代名詞として、ディスられがちなのが現状だと思う。
ただ本作が決定的に違うのは、その押し付け度合いだ。
テーマとしていかにもディズニーなものを含んではいるが、決してそれを押し付けてこない。何が大事かはキャラそれぞれが選択しており、どちらが悪い等の表現もない。
その中で、じんわり心情変化していく、穏やかなカタルシスが訪れる。説教じみてない絶妙な脚本に天晴。
ここ数年公開されてきた中で一番ユートピアに近い作品だと思う。
思想や文化が統率されていないのに、心地良い。
真に居心地のいいものとは、こういうものを言うんだと思う。
嘘くさくなく、過激な「ようこそ」のない真のディズニー理想郷に行きたい時、いつでもそこで待っていてくれる、まるでフードコートのような作品だった。
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