「もっと様々なエレメント・シティの表情を見たい、と思わせてくれる一作」マイ・エレメント yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと様々なエレメント・シティの表情を見たい、と思わせてくれる一作
本作に登場する火と水、土や風といったエレメントは、明らかに多民族社会における民族的な区分の仮象となっていて、そのため火の女の子エンバー(リア・ルイス)と水の青年ウェイド(マムドゥ・アチー)の出会いと交流は、常に異民族間接触の様相を帯びています。
出会うはずのないもの同士が織りなす、いわゆるボーイミーツガール物語は、「ロミオとジュリエット」から枚挙にいとまがありませんが、ウェイドは涙もろいが好青年で、彼の家族、というか水のエレメントたちは全般的に善良であるため、エレメント同士の対立軸はどこにあるの?とも思えてきます。
しかし実際のところ、エレメント・シティでは水のエレメントが主流派(マジョリティ)であって、彼らが意識するしないに関係なく、条件の良い生活環境や資源は、水のエレメント達の独占状態となっているのです。そして火のエレメントは水によって劣悪な生活を余儀なくされている少数派(マイノリティ)であるため、彼らは自分たちの苦境を意識しようともしない水のエレメント達に強い反発心を抱いています。
その民族的な対立意識をどう乗り越えていくかが本作の重大なテーマとなっているのですが、その結末はお約束通りになりそうなところ、エンバーとその父が交わすあるやり取りで、非常に印象深いものとなっています。
エレメント・シティの構造を視覚的にとてもわかりやすく見せてくれた本作ですが、時間の都合もあったのか、土や風のエレメント達があまり前面に出てこなかったのは少し残念。しかしエレメント・シティを舞台にしたら、いくらでも続編やスピンオフが作れそうな予感!
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