「余計なことも気になりつつ……」マイ・エレメント Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
余計なことも気になりつつ……
最初の方に表示されるコメントで「人種差別の映画じゃない」と書いてる人がいましたが、「差別」を露骨に描いていなくても、エレメントが人種のメタファーであることは明らかですね。
水はおそらく白人(高層マンション住まい)、火が監督の出自も反映してアジア系(韓国系)なんでしょうし、それ自体が階層の差、貧富の差としても描かれていました。ここでも、「パラサイト」や「天気の子」のように、流れる水が押し寄せる低い場所(底辺)に住んでいるのが主人公家族であり、そこに火たちが住む街もあります。
ただし、この映画は、たとえ差別される側にいる人も、そこで他者に壁をつくるのをやめよう、もっと柔軟になろうと、マイノリティの側の意識を問題にしていることです。
だからこそ、差別の記憶(火は立入禁止!)はあっても、「差別された!」と叫ぶ映画ではないのです。
意思の通じない他者に怒り(癇癪)を持つことではなく、気持ちを通わせることが何度も強調されますし、それを主人公は水の男から教えられるわけです。
一つ、誰でも気になると思うんですが……
火と水の二人の間に子孫は生まれ得るのか?という点です。風と土でもいいですが。
エンドロールに小さく小さく描かれていたのはそれですか?
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