「「水」×「火」が生み出すのは、幻想的な恋模様」マイ・エレメント かずくんさんの映画レビュー(感想・評価)
「水」×「火」が生み出すのは、幻想的な恋模様
久しぶりにディズニーがやらかしてくれた。
「世界的な配慮」という高い壁を常に超えられず、
批判がつきまとっていた中で、
「多様性」をここまで美しく、
そして幻想的に描ききったことに賞賛したい。
火と水──。
互いが互いを打ち消せる関係に藻掻きながらも、
「しっかりすること」に囚われて仕舞うエンバーと、
純粋でドストレートなウェイド。
火のように情熱的で感情的なエンバーに対し、
包み込むような優しさにもなれるウェイドという、
きちんと二人の性格も「エレメント」に沿ったものになっており、
非常に飲み込み易い。
お店を継がないといけないプレッシャーに負け、
癇癪を起こしてしまう環境に苦しむ中で、
最悪とも言える形で出会ったウェイドが世界を変えてくれる。
最初はあまりにドストレートすぎる彼に乱されて冷静さを欠いていた彼女も、
彼自身の真っ直ぐな感情に向き合うことで、
序盤とは全く違う変化を見せてくれる。
怒ることしかできなかった彼女が、
彼に出会うことでお客さんに優しくなれたり、
初めて泣いたり、
手を繋いだりハグをしたり…。
二人の起こす「恋」の化学反応によって、
観客も眩い若さとドキドキ感を得られる。
映像も安定の美しさと細かさに溢れており、
エンドロールまで楽しませるディズニーらしい一品。
音楽も最高で、
鑑賞後に即買いするレベルの強さを見せてくれた。
唯一の欠点は、ストーリーの掘り下げ不足だろうか。
エンバーと家族の掘り下げは出来ていたが、
肝心のウェイドにまで手が回っていなかったのが残念。
泣き虫な好青年、好きなだけにもっと見たかったなぁ…。
エンバーの家族の掘り下げがあるからこそ、
お父さんの想いを切れないエンバーが引き立ち、
且つお父さんが娘の気持ちに気付いてあげられない意味にも繋がる。
基本的にウェイドの家族はみんな仲良さそうな雰囲気なので、
そういう意味ではストーリーへの過干渉はしなくてもいいのかもしれないが、
もう少し掘り下げてくれたら良かった。
多少燃焼不足を感じる。
基本的に恋模様の視点は両視点から魅せてくれるから、
エンバーが彼を慕いたいけど慕えない葛藤も伝わり、
ウェイドが彼女を見るときの優しさと彼女を通して見える、
彼女自身の優しさを強さをきちんとそれだけでわからせてきたのがいい…!
無駄なセリフもないから、
音楽と仕草で全て伝えてくれる。
ディズニーが一番得意なことがこれでもかも出ていてよかったぞ!
やっぱラストシーンが最高だよなぁ…。
遠慮のない心からのハグから入って、
情熱的なのにどこかクールなキスシーン…。
続きはありませんか!!
次は彼女達の子どもたちの話で続編を描きませんかぁ!!
コメント有難う御座います!
エンドロールにて、
エンバーに話しかけていた土の子供と、その子が仲良くなった炎の子供とで遊ぶシーンもありましたので、
確実にエンバーとウェイドによる、
「エレメントシティの常識を打ち破った」というのがまたいいんですよねー(笑)
確かに派生として色々「多様性」を観てみたいですね!