「知的好奇心を刺激した」対峙 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
知的好奇心を刺激した
密室での4人の会話劇が、こんなにヒリヒリ緊張感に溢れていて、怖いとは。
そして、この作品のすごかったところは脚本や役者の演技に加えて、撮影でしたね。
登場人物の心境によって、寄りになったりするのは普通ですけども、お互いの理解が深まるごとに、レンズにどんどん広角を多用。
最後には画角(縦横比)が変化し、超広角レンズを使用するという。
見ている景色が変わっていくことを見事に表現していました。
2018年のフロリダ州パークランドのM・S・ダグラス高校乱射事件を知った監督が、アメリカで加害者と被害者(または本作のように加害者の親族と被害者の親族)同士で語り合う「修復的司法」を取材して作り上げたもので、リアリティに溢れたものだったのですが。
私には未知の、そんな司法制度の「新しい知識」を得られて、また『ヒトラーのための虐殺会議』の真逆な人間の共感・理解を深める感情のキャッチボールを惜しまない会話、そして「優れた表現」を観られました。
面白いとかつまらないとかの話ではなく、知的好奇心を刺激してくれて、観ておいてよかった作品だったな、と思いました。
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