「GOD WITH US」対峙 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
GOD WITH US
緊迫の、二組の夫婦。ある事件の被害者家族と加害者家族の対話、とまでしか情報を得ずに観だしたこの映画だったけど、その関係性は二組の醸す空気ですぐに分かった。
対話からだんだんとわかってくる、その犯罪。・・・過去は変えられない。・・・だから自分を責める?・・・私にはわかる。どう苦しんだか。・・・人生の価値。、、、平静を保とうとしても口からでてくる言葉の数々がとても重すぎる。結局、どう折り合いをつけるのか?冷めた目で見れば、どうせ最後は和解するのだろうよ、映画の筋書きとしては、という気持ちで観ている。だけど、その糸口はどこなのか、がさっぱり見えてこないほど、強張った被害者家族の心情だった。
でも、赦さないつもりでここに来たわけじゃなかったんだよね。許してしまうことで、殺されてしまった息子を裏切ってしまうんじゃないかと恐れていたんだろうね。
ふと思った。何度か挿し込まれた「柵の中の空き地」は、かつての学校の跡だろうか?事件後、悲しい記憶を消し去るように取り壊したのだろうか?両夫婦は、同じような理由で遠くに引っ越してしまったのだろうか?6年の歳月、他の家族は謝罪を受け入れたのだろうか?この夫婦だけが頑なに拒絶してたのだろうか?いろんな想像が、この対話の意味を考えさせられる。
最後に聞こえてきた聖歌隊の練習の歌声。おそらく対面する前だったら、雑音でしかなかったろう。心から赦す気持ちが、歌声を美しいと感じることができたのだ。それは神様の存在を身近に感じることができた証拠だと思う。(神を見たとかそういうことではなくて)。もしかしたら、事件後のすべての出来事から、こうしてここでの対話に至るまで、神はずっと見守ってくれいていたのだろうか。(もちろん、神の差配ということではなくて、寄り添ってくれていたという感謝の気持ちが湧くという意味で)