「デリケートな問題に徐々にたどりつくまでの探り合いの会話は練り上げられた脚本と俳優陣の秀演だ。」対峙 jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
デリケートな問題に徐々にたどりつくまでの探り合いの会話は練り上げられた脚本と俳優陣の秀演だ。
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対面は、教会の殺風景な控室の十字架の下で行われる。無神経ともとれる教会スタッフと双方の両親4名の比較が、当事者と他人との意識の格差ともとれる気がする。
子育ての責任と子どもの資質、成育環境と救いの道。親としてどうすればよかったのか。愛する者を失った時に抱く後悔の念。見る側に他人事と感じさせないリアリティが、コミュニケーションの難しい現代の問題として迫ってくる。
動きのない画面でさえ、表情やちいさなしぐさを捉えるカメラも素晴らしい。
丸いテーブルをはさんで座った4人は、やがてテーブル越しではなく椅子を近づけて寄り集まって座った。お互いを理解するには、胸の内をさらけ出し壁を取り払い、憎しみを捨てることかもしれない。
タイトルのMassとはキリスト教のミサ、感謝の典礼という意味があるようだ。教会が舞台であること、キリスト教の精神が根底にあることで、「赦し」の意味を心から理解することはできないかもしれないが、前に進むとは、そういうことなのだろう。
稀にない邦題の素晴らしさにも敬意を表したい。
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