「「何もなかった」とは言いつつも…。」水は海に向かって流れる talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
「何もなかった」とは言いつつも…。
<映画のことば>
千紗ちゃんは、16歳のまんまで時間が止まっちゃってる。
自分でだって、動かした方がいいってことは、分かってるだろうけど。
「何もなかったことにして暮らしたい」とは言うものの、その内心は、「何もなかった」訳でもないし、あまつさえ「何もなかったこと」には、できないことも、千紗自身の中では百も承知、二百も合点。
しかし、雨として地表に降った雨は、川に集まって流れ下り、いつかは海へとたどり着く。
その万古不変の自然の摂理と同じように、千紗と母親との関係性においても、結局は「血は水よりも濃かった」ということだったのでしょう。
そんなこんなの、千紗と彼女の母親との関係性が、なんとも胸に痛い一本でした。評論子には。
かてて加えて、千紗を演じた広瀬すずの演技が圧巻の一本でもありました。
佳作であったと思います。
(追記)
それにしても、ピュアですねぇ。直達君は。
彼と千紗との「年齢の差」というものも、その一点に昇華していたのかも知れないと思いました。本作の場合では。評論子は。
今はもうすっかり、そういうピュアさ加減というものは、人生のどこかにまるまる置き忘れて来てしまったような評論子ですけれども。
思い返してみれば、直達君と同じような世代の、やおら半世紀も前に遡ってみれば、こんな感じとも、そう違(たが)わなかったような気も、しないでもありません。
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