「山口香緒里や矢柴俊博にもスポットライト当てて」水は海に向かって流れる 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
山口香緒里や矢柴俊博にもスポットライト当てて
2023年映画館鑑賞33作品目
6月21日(水)イオンシネマ新利府
ACチケット1000円
原作未読
原作は『子供はわかってあげない』の田島列島
監督は『パコダテ人』『パローレ』『ブタがいた教室』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『老後の資金がありません!』『そして、バトンは渡された』『ロストケア』の前田哲
脚本は『漁港の肉子ちゃん』の大島里美
通学のため叔父さんの家に週末以外お世話になることになった高校生の直達
雨降る駅に傘を持って迎えに来たのは叔父さんではなく若い女性だった
W不倫した男の方の息子と女の方の娘が同じシェアハウスに同居する話
シリアスなストーリーかと思いきやわりとコメディータッチで自分からすれば大好物
それでいてなんかちょっと悲しい面も
鼻を負傷した達夫が河原の道で犬に吠えられるのだがその犬の名前が「ラッキー」というのが地味に笑える
達夫の浮気を疑った麻子がガラケーのACアダプタをヌンチャクのように振り回して自分の頭にぶつけて入院するくだりはとても面白い
千紗が作った麺つゆたっぷり使った牛丼や生卵入りカレーは不味そうだった
自分は国産牛の食べ方に多少の拘りがあり外人じゃないけど生卵は食べれないからかもしれない
直達と千紗が海で戯れるシーンは蹴りも手伝って昔の中山美穂のCMを彷彿させた
鼻に貼った絆創膏をいじったり蜜柑1個溢すシーンは北村有起哉のアドリブかもしれない
細かい演技してる
この人はうまいよ
紗苗の「男」がだんだんしょぼくなっているのが地味に笑える
二人が訪問する際に外出から戻ってきたばかりだというのになぜか紗苗はすっぴんだったが演出上の何らかの意図を感じた
連れ子の娘が継母を庇うため必死になって雛アラレのようなものを投げつけ千紗と利空を追い出すのだがなに言っているのかよくわからなかった
高島家はレストランで偶然2人と鉢合わせになるのだがそんな偶然あるだろうか
今のところ紗苗が幸せなのは伝わってくる
出演者のなかでは當真あみが光った
直達が恋愛しない宣言したときのリアクションと千紗に抗議するときの表情が特に良かった
珍しい苗字でどっかで観た記憶があったがそのはずで『かがみの孤城』で主人公こころの声を担当した女の子だった
どこの所属かと調べたら聞いたこともない沖縄の事務所でさらに調べたら先輩には玉城ティナがいた
ジャンルは違うが地元のニュースで観た当時一年生だった花巻東の佐々木選手以来のワクワク感
映画情報サイトのキャスト紹介はどこも大抵山口香緒里と矢柴俊博の名前がなかった
直達のクラスメートの男子役なら名前がなくても若いから悔しさをバネに発奮すれば良かろう
だが山口も矢柴もそれなりのキャリアがある名脇役である
流石に猫より扱いが小さいなんて酷すぎ
たしかに山口は大奥スリーアミーゴスの3人の中では一番美人なのに存在感が薄く写真集や映画でヌードを披露してもあまり話題にならなかった
矢柴は野間口徹をさらに薄くした感じではっきりいってパッとしない
とはいえ50代前後のそこそこの俳優なのだからぞんざいな扱いをしないでほしい
山口香緒里や矢柴俊博にも光を当ててくれれば
この作品は大コケらしいがそりゃ実写版の『リトルマーメイド』に到底敵わない
だが駄作ではない
そもそも大コケするのは二本足で歩いているからであって底辺のど真ん中を小沢一郎から滲み出た得体の知れない液体を啜って這って進んでいる日刊ゲンダイのライターは物理的にいってコケるはずがない
いい歳して誰からも信頼されることがなくそれを恥じることなく平然と生きていける無神経さはある意味において羨ましい
茂道のシェアハウスに住むOLの榊千紗に広瀬すず
高校が自宅から遠いので近くのシェアハウスに住むことになった熊沢直達に大西利空
脱サラして漫画家になった利空の母親の弟の歌川茂道に高良健吾
茂道のシェアハウスに住んでいる女装の占い師の泉谷颯に戸塚純貴
直達のクラスメートで颯の妹の泉谷楓に當真あみ
離婚後地元に引っ越した千紗の父の榊謹悟に勝村政信
紗苗と駆け落ちしたが戻ってきた利空の父の熊沢達夫に北村有起哉
利空の母親の熊沢麻子に山口香緒里
千紗の母親で離婚後吾郎と再婚した高島紗苗に坂井真紀
幼い娘付きで紗苗と結婚した高島吾郎に矢柴俊博
シェアハウスの住人で大学教授の成瀬賢三に生瀬勝久