「當真あみのブレイクを確信する一本」水は海に向かって流れる わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
當真あみのブレイクを確信する一本
日本人として産まれて良かったと思うことが定期的に広瀬すずの新作をスクリーンで観れることだと思うので、今回も良かったです。
當真あみちゃんが本当に良かった。実質当て馬の役だけど、視線の配り方、水晶体の美しさ、声の強弱など初々しさもありつつ円熟した演技にも感じました。これから少女漫画の実写化のヒロインや朝ドラのヒロインなど、永野芽郁→浜辺美波みたいな育て方をしてくれれば。ここまでのドラマやCMのキャリアの積み重ね方を観ていけば、安心はしています。
高良健吾も良いし、生瀬勝久も良いし、両親も良いし…。それだけに主役の男の子は完全に食われてしまっている感じでしたね…。少なくとも前半のシーンの相槌の頷きの入れ方とか、どの角度で立ち振る舞うかは、監督の演技指導でどうにかなったレベルだと思う。まだまだこれからだと思うので、楽しみにしています。
そうした演技力のバイアスを抜きにしても、この男子高校生の行動もその行動原理もずっと気持ち悪いなあという印象が拭えず…。最終的にラストシーンで広瀬すずがポジティブな言葉を返してたらもう噴飯ものだったのですが、そこは何とか。怒りたかったら怒っていいのは彼の背景を知ればそれはそうだけど、だからと言ってその行動を起こしていいの?が続く。
子役の「ジャパニーズドリーム」も明らかに声は後撮りなのも、サボるんじゃないよと思う。「っていうことは〇〇ってこと?」で状況説明させるのももったいないし、あまりにも偶然が不自然に重なってるところも残念だった。當真あみちゃん演じる役柄がモテていることを示すシーンも一つは欲しいし、最近ポリコレ映画を見すぎたせいか、あまりにも「異性愛の成功=幸せ」感あるメッセージもちょっと厳しかった。それも幸せの一つくらいに描いてくれたら。
あと、たくさんご飯が出てくるのに、あんまり美味しそうに見えなかったのも残念。卵を使ったメタファーは面白く見ました。
演出も漫画チックなスローがややあざとく、自分とは相性が合わなかったです。でも役者の演技とスピッツの主題歌の下支えによって、鑑賞後感は悪くなかったです。