「とても良い作品。」名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン) ししまるさんの映画レビュー(感想・評価)
とても良い作品。
評価自体は人によると思うので気にしないで欲しいが、高まる期待にきちんと応えた映画かなというのがまず一つ。少々複雑だが見やすく、満足できる作品になっている。
物語としての構成も、灰原が見せた優しさから物語が始まり、その優しさ(ベルモットにも他に助けた理由があるが)でオチを迎えるのが良かった。
原作のイチョウになぞらえた灰原と直美のエピソードはとても良い原作との繋がりであると思うし、ピンガがアイリッシュ等と同じ蒸留酒の名前であるということや、ラムの側近というポジションがキュラソーの後任だということがコナン本人から語られ、劇場版過去作ともよく絡められていた。
推理、というよりアクション寄りなので事件の犯人は分かる人にはすぐ分かるが、最近の映画の中では眠りの小五郎で謎を解いたりするのが目新しい印象。
灰原が凄く可愛く描かれていて、成長もしっかり感じられるので好きな人は必ず見たほうがいいと言っておく。
個人的にもう少し欲しかったのがラムの側近であるピンガの脅威を感じさせるシーンやコナンとの対決(頭脳戦込み)。データの奪取の際には姿を見られ、防犯カメラの改変をパシフィック・ブイのメンバーに気づかれ、コナンに煽られ、ジンに消され、とキャラは立っていたものの良い役割が貰えていなかった印象。漆黒の追跡者のようにピンガと一対一の対決をするシーンがほぼ無く、個人的に終盤の盛り上がりに欠けた。その分灰原とのあのシーンがあったので大きすぎる驚きはあったが「それ言っちゃって大丈夫ですか……?」と逆にこっちが焦ってしまった。その後主題歌入りのシーンで見事その驚きをプラスの感情に変えられたので文句のつけようがない。しかし欲しかった。対決シーン。