「敬礼。」ゴジラ-1.0 ちゃーはんさんの映画レビュー(感想・評価)
敬礼。
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最後の敬礼のシーンは、日本映画史上に残る名シーンだと思う。
「終戦」で終わらなかった人。終われなかった人。生きていてよかったのか。生きないほうがよかった。生き抜いたのにその世界は地獄だった。
自分の命に対する問い、否定、行き場のない思い、託された心。
ゴジラと対峙することで、「それら」を肯定し終わらせることができたのだろう。
自然と出てきた敬礼。ゴジラと戦うことで、倒すことで、戦いは終わったんだ。みんながそれぞれゴジラと戦いながら、ごく個人的な何かと戦っていたんだ。人の数だけある「対峙すべき敵」と。
ぼくたちは、「対峙すべき敵」へ眼差すことができているだろうか。正面から向き合うことができているだろうか。
「ゴジラ」という名の理不尽で不条理かつ常識が通じない敵は、いつだって、誰にでも存在する。目を逸らし、逃げているうちに、その存在すら忘却し、戦うことを失念してしまったぼくたちの映画。
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