「初代と並ぶ傑作。てか今観る映画としては初代より凄い」ゴジラ-1.0 kennyさんの映画レビュー(感想・評価)
初代と並ぶ傑作。てか今観る映画としては初代より凄い
まず脚本が百点満点
そらたしかにご都合主義面も鼻にはつくが(パニック下の銀座でヒロインと偶然出会えるとか)、これだけ要素満載の物語をまとめ切った力量は疑うべくもない
さらに編集・演出とも最高レベル。伊福部昭音楽の使い方は涙物
――とまあ難癖のつけようのない映画
当方は初代ゴジラを観ると毎回最後の自己犠牲シーンで泣いてしまう。好きな女のために身を引いて死に赴くヒロイズムに。本作の主人公造形も、あれと匹敵する潔い清さがあって泣ける。初代ヒロインは50年代モンスター映画ヒロイン丸出しの弱い女でただの書き割りだが、本作ヒロインははるかに現代的な性格造形。登場人物全ての造形・それぞれの活躍や課題解決まで考えると、「今観る映画」としては初代を超えている傑作。特に「未来は任せた」と死地から降ろされた若手が助けに来るところとか、最高の脚本。
唯一、欠点を挙げるとするなら主役が大根役者なこと。他の主要人物は皆いい演技をしているので、主役の下手さが際立つ。いや頑張って演技してるのはわかる。自分なりに絶望や呆然、突き上げてくる激怒や激情を解釈して表現しようとしている真面目さや努力は感じる。
ただこの役、演じるのは難しい。力量の必要な。本作主役はなんというか、精々が「ぎり許せる」くらいの下手さ。特に冒頭は酷い。下手さにこちらも慣れてくるので後半はそれほど気にはならなくなってくるが。役者は頑張っているが力量が足りない。
いや客呼べるイケメンを主役に置くのはわかるけどさ、せめてもっとうまい役者にしろよ。なんなら子役の赤ちゃんより下手なのはどういうことかと。。。(というか子役のいい瞬間の切り取り方、作り手がうまいのもある)
★以下、ネタバレあり
考察:あのゴジラ放射の中、典子が生き残ってたの、鑑賞直後は「ご都合主義だけど、ストーリーの着地点としては最高だった」と考えていた。いやつまり流れとしては、「典子死す」>「敷島、ゴジラ絶対倒すマンになる」>「命を賭して特攻に離陸」>「だが実は典子は生きていたのでは(澄子姉さんに電報届く描写はあからさまにそれ)」>「ならそれを知らず敷島が特攻する、すれ違い悲劇設定か」
からの
「橘の許しで敷島、脱出装置を使う」>「電報を知った敷島が病院で典子に再会」>ベタだけどハッピーエンド
みたいな。脱出装置を付けてたのは、その前の無音会話シーンで見え見えな伏線だったし。
でもさ、次第にじわじわ思うようになったんだが、「ならなんで最後、病院に駆けつけた敷島相手に典子は一言も発せず、じっと敷島を見ていただけなのか」「なんで典子の首に謎の黒痣があったのか」が気になるようになってきた。だってゴジラ放射で怪我した描写なら、顔がきれいなのに首だけ黒痣があるの変だし、そもそも包帯であちこち覆われてるんだから、描写としてはそれだけでいいよな。
つまりあの黒痣には、それ以上の意味があるんじゃないか――と思ってきたわけよ。
以下妄想に近い考察だけど、あれシンゴジラ的な「ゴジラ細胞」が埋め込まれてるんじゃないかと。だからこそあの大放射で生き残れたのではないかと。続編がもしあるなら、ゴジラ細胞で人外になりつつある典子を救うため、敷島がゴジラの体から免疫的ななにかを奪いに行く展開になるのでは――。とかね。皆様、あれ、どうお考えでしょうか。
いやー、ネタ考察って面白いっすなー。