劇場公開日 2023年11月3日

「戦争の顔をしたゴジラ」ゴジラ-1.0 さくやさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争の顔をしたゴジラ

2023年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

シン・ゴジラは「シン(神)」「ゴッドジーラ」で、嵐や地震、大雨、日照り、疫病の流行など、人がふさぎきれない自然災害の化身だったように思います。
だから無慈悲で無差別ではあるけれど、悪意や敵意は感じなかった。

でもこのゴジラは戦争の化身そのもの。
我々を「敵」と見なし、殺すつもりで襲い掛かってきます。

だからこそ、「戦争を終わらせられていない人」たちが、「今度こそ生きて帰ってくる」という思いを胸に、知恵と勇気を振り絞って倒さなければならなかった。

野田博士の「我が国はあまりにも人命を軽く扱いすぎた。我々は生きて帰らねばならない」というセリフは、この映画の肝と言えるだろうと思います。

でもそれでもやっぱり、佐々木蔵之介演じる秋津淸治の、「誰かが貧乏くじ引かなきゃなんねえんだよ」がとてつもなくかっこいい。

コロナ下において、「なぜ自由に行動できないんだ、政府がなんとかすべきだ!」と被害者面をして、私たち庶民が持てる唯一の武器、マスクさえ放棄する人がたくさんいました。コロナもゴジラと同じような怪物なのに。
それでも医療従事者たちは、最前線で、命をはって戦ってこられたと思います。
まさに「貧乏くじを引いて」いたのは彼らだと思う。
でも、歴史は、貧乏くじを進んで引いた奴らが作ってきた。
貧乏くじにしない勇気と覚悟で貧乏くじを引く人がいたからこそ、今があるのだ思います。

誰もが貧乏くじを引かせてもらえるわけではありません。
だけど、水島のように、銃後で出来ることはないかと知恵を絞れば、大きな力になれるかもしれません。

ゴジラは決して死なない。
だからこそ、私たち一人一人が、私達なりの貧乏くじを探さなくてはならないのだと思います。

さくや
みかずきさんのコメント
2023年12月14日

フォローありがとうございます

私、10年ほど前から、キネマ旬報、kinenote、Yahoo映画レビューなどに映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報掲載です。こちらのサイトには昨年2月に登録しました。
宜しくお願いします。

本作、時代設定を終戦直後にしたのが奏功していました。敗戦をゴジラ出現という二重苦の状況で、それでもなお、未来を切り拓くために、知力を振り絞ってゴジラに挑んでいく人々の姿が、感動的で生きる勇気を貰えました。

ー以上ー

みかずき