「善良なヤンチャな男子たちが作り上げたマッチョな映画。」ゴジラ-1.0 kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
善良なヤンチャな男子たちが作り上げたマッチョな映画。
戦後の焼け野原からだんだん復興していく町の様子、崩壊する銀座、もちろん不死身のゴジラの、「恐怖」を通り越し爽快さすら感じさせる表現力には感服。満を辞してのゴジラのテーマが流れる頃、観客はノスタルジックな陶酔の面持ちへと自ら委ねてしまうのは劇場観賞の醍醐味だろう。
ただ、穿った言い方をしますと、あの時代の気分に乗じ、99%男子たちが強く守る立場、映画では1%の存在感の中で(子どもまでがなぜか女の子)、女子たちは銃後の守りに徹する役回り(戦後にもかかわらず)というステレオタイプな文法に、「マッチョな映画だなあ」という印象だけが最後に残った(子どもを隣人に預けて銀座でOL始めた典子はあの時点で本当に自立したかったようには思えない。内面が全く描けていないので判読は不可能だ。そしてこの映画の中では典子だけが銀座で都電に乗っているという状況を作り出すための逆算結果に過ぎない)。
あのカタルシスを経て、敷島の戦争は本当に終わったのだろうか。少なくとも子ども三人失った澄江さんは一生戦争を憎み続けていくに違いない。
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