「一番大事な恐怖が描かれていた」ゴジラ-1.0 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
一番大事な恐怖が描かれていた
怖かった。これが一番大事なことで、一番大事な部分をしっかりできたのだから成功だと思う。銀座の破壊シーンもすごいが、海のシーンも素晴らしかった。でかいゴジラが泳いで追いかけてくるあのショットの恐怖は一級品だ。
ドラマパートについては、戦争を一人で生き延びてしまった男が、悔恨を抱えながらも新たな生活を一歩踏み出そうとしたら、ゴジラによって戦中に引きずり戻されるという展開は、戦後日本の微妙な立ち位置を上手い具合に表象したと思う。敗戦から抜け出し経済成長した日本だが、大戦の影響は、国際政治的にも精神的にも、ずっと引きずり続けている。日本人はあの時から変わっているのか、いないのか。奇妙な戦後の日本社会の在り方を今一度見つめ直すという点でよくできた物語だと思う。
山崎監督のこれまでのキャリアでやってきたものが上手い具合に活かされているし、CG表現も卓越している。得体のしれない怪獣が理由もなく襲うことの怖さ、理不尽さ。そこに人の方が勝手にいろんな理由付けをしながら挑んでいく。それがすごくリアルなことだと思う。
コメントする
映画好きさんのコメント
2024年6月2日
「戦争を一人で生き延びてしまった男が悔恨を抱えながらも一歩踏み出そうとしたら」
って、どのあたりで読み取れました?
「大戸島を生き延びてしまった男が(略)」なら読み取れましたけど。