「★5じゃ足りない」ゴジラ-1.0 Flagmanさんの映画レビュー(感想・評価)
★5じゃ足りない
邦画の底力を観た。
度肝抜かされた。
個人的には日本映画史上最高と言ってもいい程の出来。
山﨑貴監督、伊福部さん
全てのキャスト、スタッフの方々に感謝を。
本当に素晴らしかった。
僕は平成ゴジラVSシリーズの世代で、ゴジラ映画と言えば僕の中で1番好きな作品群です。
そんな中2016年に庵野監督による『シン・ゴジラ』で衝撃を受け、もうゴジラ映画でこの作品を超えるものはないと豪語していた時期もあった。
ハリウッド版ゴジラも頑張ってはいるが、日本人の我々からすれば恐怖の象徴よりもヒーロー思考の高い作品が目立ち、本来のゴジラたるものが国の文化や需要でブレてしまい、ガラパゴス化した現状が嬉しくもあり寂しい気持ちもあった。
今作の『-1.0』もソレだと思ってた。
前評判は良かったのでそれなりにいい出来なのだろうと鷹を括ってたが、観れば軽々と『シン・ゴジラ』を越えていた。
シン・ゴジラどころか他作の日本映画を総なめしているほど。
これは『ゴジラ映画』と言う枠でこの映画を切るのは勿体無い。
音響の整った映画館で是非観て頂きたい。
まず時代設定がゴジラシリーズでも1番古い、戦後と言う民間人がギリギリ武力対抗で絶妙な設定がいい。
近代的な建物も少なくよりゴジラの巨大さを強調することもできる。
何よりもシナリオが抜群。
映像も勿論良いのだが、そんなのはどうでも良い程ストーリーがよかった。
『ゴジラ映画』なのに。だ。
他シリーズのゴジラをメインに置くと人間ドラマが疎かに、人間ドラマを描くと怪獣が疎かに、ではない。
完全に両立出来てた。
心底感動しました。
そしてその人間ドラマを演じるキャスト陣の素晴らしさ。
特に野田役を演じた吉岡秀隆さんは群を抜いて素晴らしかった。
確かに日本映画らしい独特の演技の癖や、大げさで誇張気味の言い回しや表現はある。
しかし戦後日本と言うこともあり、その独特な表現も映画の世界観の板について良いものになっていた。
日本人たる団結感。
己を犠牲にしても誰かの為に立ち向かう自己犠牲の精神。
そして生きる事の執念。
それらと同時に流れる伊福部さんの音楽とここだと言わんばかりのカメラワーク。
とにかく熱かった。
正直言うと今作のゴジラのデザインやモーションはそんなに好きじゃなかった。
しかしそれでも満足出来る部分が大半なので、何の気にもならない。
チープなモーションもそう。
よく日本映画はCGがショボいと言われるが、ショボいのはCGじゃない。
モーションがダメなのです。
今作に限らず日本映画は物が動く表現がどうも不得意なようです。
飛んできた電車は着地と同時にそんなにピタッとは止まらないし、ゴジラの動きも生物として不自然な動きをしています。
ここだけは気になりました。
CG技術はあるのに勿体無い。
残念なところはそれくらいでしょうか?
シナリオには全く関係のない部分ですね。
観る方がどこまで許容できるか気付くか?の問題だと思う。
僕がここ4〜5年で観た映画の中でもトップクラスなのは間違いありません。
数あるハリウッド作品がひしめく中、まさかそれが日本映画なんて嬉しい。
絶対に見て欲しい作品。
ゴジラなんて興味ない人でも全然観れます。
むしろ観て欲しい。
★は5を超えています。
オススメです。