「希望」ゴジラ-1.0 Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
希望
ゴジラ、というフォーマットで繰り返し作品が紡がれる。鑑賞したのはほんの数作品しかないが、それぞれの作品に、監督の、製作者の魂が宿っているのだろう。
戦争、今も昔も誰かが前線に赴き、銃後の民も含め心身を傷つけている。戦争はないに越したことはないが、人間は大なり小なり諍いがあるのが日常であり、衝突のない時代の方が珍しいともいえる。
戦後、人と人との争いから、ゴジラとの闘いへ。誰かが引き受けないといけない役割を誰が担うのか。利己的な遺伝子を持つ人間という生物が、利他的に行動することもあるのは、それが種の存続に必要な行動だから、なのだろう。仮に利他的な行動の選択が人間の遺伝子レベルで組み込まれていたとしても、その選択をするのは意思を有した個々の人間一人一人だ。名前も知らない誰かの働きが、巡り巡って自身の生活の支えとなっている。私の働き、いや、ただ生きていることさえ、誰かが生きる糧とはなっているのか。そんなことも思う。
仕事、家や家族を失うこと、少なくとも2023年のガザやウクライナでは日常で。我々の身に降りかかってこない保障はない。それでも、生きていさえすれば、まだ立ち上がり再起できる可能性はある。
戦え、でも、生き延びろ。その先に希望があると信じて。私がこの作品から受け取ったメッセージの一つはコレかな。
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