「そんなに絶賛するほどの映画とは思えない。」ゴジラ-1.0 いなかびとさんの映画レビュー(感想・評価)
そんなに絶賛するほどの映画とは思えない。
ゴジラは小学生の頃(60年弱前)からの私のアイドルであり、折りにふれその作品を鑑賞してきた。さすがに還暦を超えてからはもう熱中することはなく、楽しめればいいなと思っている。
新作が公開されることは知っていたが、観る気もなかった。このところ
ハマっている評論家の岡田斗司夫が絶賛していたので、鑑賞してみた。
高評価が目立つが、私には絶賛するほどの作品には思えなかった。従来の作品と違った点は、人間ドラマに重点が置かれていた事だろう。どうしても怪獣対人間(時に怪獣)の戦闘が中心となって、人間側が勝利するというお決まりのパターンになる。今回もそうだ。
今回はゴジラと対決する主人公の苦闘のドラマがメインとなっているように思う。それが説得力を持たない故に、浅薄な人間に見えてしまう。彼はゴジラに殺された島の飛行機整備員には痛恨の想いを持っているが、共に出撃した同僚の特攻隊員には何の感慨もないのだろうか。
転がり込んできた女性や血縁もない少女をなぜ養うのか? その理由が分からない。そんな高徳な人がこの世に存在して欲しいと私は思っているが、映画では説得力が無いと絵空事になってしまう。まぁ、映画は絵空事を描く娯楽と開き直られると何も言えなくなってしまうけど。ご都合主義のところは他にもある。が、まぁ許しておきましょう。
私が一番感動したのは、伊福部昭作曲のゴジラのテーマ音楽が流れたこと。次に大戦末期に開発された局地戦闘機「震電」や幸運艦と言われた駆逐艦「雪風」が現れたこと。嬉しかった。
まぁ、怪獣の見せ方は進歩したと思うけれど、やはりドラマ部分がしっかりしていないとこの系統の製作の難しさがある。
コメントする