「シン・ゴジラと対照的なつくり」ゴジラ-1.0 黙思亭不語さんの映画レビュー(感想・評価)
シン・ゴジラと対照的なつくり
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シン・ゴジラとは、対照的なつくりの映画である。
シン・ゴジラは、総理大臣以下の政治家や官僚が右往左往する様を絡めながら、徐々にゴジラの恐怖を煽るが、この映画は、いきなり強烈な殺戮シーンがあり、しかもシン・ゴジラでは見せなかった死体が並ぶ。
何故か東京を目指すゴジラを如何にしてやっつけるかというのは、シン・ゴジラと同じ。極めてシンプルなストーリーなのだ。
ドンデン返しが2つある。
整備した戦闘機震電でゴジラに特攻をかけた主人公浩一は、話の流れで玉砕するかと思いきや、際どくパラシュートで脱出するのだ。かつて仲間を見捨ててゴジラから逃げた浩一を罵倒した整備士橘が、浩一を助けるのである。
もうひとつは、ゴジラから身を挺して浩一を守り、爆風に吹き飛ばされて、死んだと思ったヒロイン典子が生きていて、死地から生還した浩一と再会する。チト都合が良すぎるような気もするが、後味は悪くない。
驚いたのは、アキコ役の永谷咲笑ちゃんの演技である。たどたどしいセリフが可愛いし、泣くべきシーンでは、顔を歪めて泣くのである。どうやって演技をつけたのかしら。
ゴジラは、完全には死んでいない。深海で再生しつつあるシーンで映画は終わる。続編を予告しているのである。
この映画は、初代「ゴジラ」へのオマージュである。即ち、反戦映画であり、反核映画である。音楽も伊福部昭サンのものを一部使っており、上質なエンターテイメントに仕上がっている。旧軍人の敗戦トラウマの払拭がテーマになっているが、決して軍国主義を礼賛している訳ではない。
なのに、某新聞の映画評では、見当違いの批判を繰り広げている。バッカじゃなかろーか。
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