劇場公開日 2023年11月3日

「ゴジラー1.0(ネタバレ無) ゴジラは120点 ドラマはダメダメ、むしろ不快」ゴジラ-1.0 とみよしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゴジラー1.0(ネタバレ無) ゴジラは120点 ドラマはダメダメ、むしろ不快

2023年11月5日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

ゴジラ-1.0 感想でございます。

いやー! 特撮はアガるねー! ゴジラやっぱいいねー!

いいところもダメなところも、全部合わせてゴジラさいこー!

もう、書きたいこといっぱいあるもん!うおおおおおー!!!

【ぼくの考えたゴジラ-1.0】

戦後、廃墟となった東京にゴジラが現われ蹂躙、破壊の限りを尽くしただけでなく、都の中心部は放射能汚染により人の居住は不可能となる。

歴史が変わった。もはや日本に価値無しと考えた米軍は早々に撤退。しかし日本人はあきらめなかった。首都は大阪に移り、ここから日本は奇跡の復興を遂げる。復興のモニュメントとして建てられた太陽の塔に隣接して議事堂と中央官庁街が形成され、甲子園で日本初のオリンピックが開催される。高度成長を謳歌する日本。しかし再びゴジラが現われ…

予想は大外れでしたwww

【ホントのゴジラ-1.0】

終戦も間近となった1945年。特攻として出撃した敷島は機体が不調と偽り、整備員のいる大戸島に不時着、その夜ゴジラと遭遇。恐怖に怯え機銃を打てず、整備員多数が犠牲となる。日本に戻った敷島は、赤ん坊を抱える典子に家に転がり込まれ共同生活を営むことになるが、大戸島での出来事がトラウマとなり連日悪夢にうなされる。典子が銀座に働きに出るが、ゴジラ来襲の報がラジオから流れ…

まずゴジラの出てくるシーンは(冒頭を除いて)120点!差し上げたい。水面ギリギリで浮かぶゴジラが木造船を追ってくるシーンは迫力満点で、これはその場にいたらかなりビビるわ…と思わせる。かつて平成ゴジラで検討されたという「ゴジラ対戦艦大和」の夢の実現もある(大和じゃないけど)。その後の銀座上陸シーンはまさに圧巻。音もいい。ゴジラの鳴き声とズシンズシンと響く足音。新録されたゴジラのテーマが流れた時は鳥肌立ちました。火を吐くシーンはさらにものすごく(背びれのアクションはどうかと思ったが)、その威力をビジュアルで強烈に表現しており、あらゆるゴジラ映画を凌駕したと言って良い。初代ゴジラのオマージュも盛り込まれ、ファンサービスも十分。後半ではゴジラとの闘いシーンが迫力のうちに展開され、見ごたえ十分。さすが白組。面目躍如。ゴジラ・ザ・ライドを演出した監督だけのことはある。

でもねえ…

人間ドラマがダメダメなんですわ。

まず戦後のバラックで暮らす敷島と典子のシーンですが、戦後のリアリティが感じられない。服を汚したりはしているけど、あくまでドラマの中にしか見えない。顔は化粧バッチリで眉毛バシバシ描いてるし。なんかこー、NHKの朝ドラみたいなんだな。

ドラマ自体もどうにも。この映画の根底に流れるテーマの一つには、明確に「戦争で生き残った人間の立ち位置」というのがあるわけですけど、死んだ方が良いのか生きぬくべきなのか、死にたいのか生きたいのか、死んでほしいのか生きててほしいのか、全編を通してブレブレなんですね。敷島は最終的にはもちろん、どっちかになるわけですが、なぜ最終的にそれを決断したのか、それはどのタイミングで何が理由なのか、全くもってハッキリしない。他の人たちにしても、ある時は「誰も死なない作戦としたい」と語らせ、またある時は「戦争で生き残った連中が今度は役に立てると喜んでる」的なセリフがあり。ここには「生き残った=役に立てなかった」の等式が成立し、すなわち「役に立つ=死ぬ」なわけで… 一方で「生きるべき」と言いながら一方で「死んで役に立て」と言ってる矛盾は映画の中では解決されず曖昧なままに終わってしまう。

なおですね、タイトルの-1.0の由来でもある「戦後の焼け跡にゴジラが現われ、さらなる破壊を行う」というコンセプトは、ストーリーになんっっっにも関わって来ませんから!それで戦後になにか影響を与えるとか復興がどうにかなるとか歴史が変わるとか、何にも無いっす!ただ戦後にゴジラが来たってだけ。

山崎貴監督ですが、この人は多分、細かいことを気にしない人なんですね。
「永遠の0」はヒットして、この映画のテーマは「なるべく死ぬな、死ぬなら効果的に死ね、無駄死にはするな」であって、そこは明瞭なんですが、おそらくは原作のおかげ。VFXのプロであり、描きたいビジュアルありきの人。欧米に似たようなタイプの人がいる(ザ・クリエイターのギャレス・エドワーズとか)。娯楽映画を程よくまとめる監督として、これからも東宝には重宝されるんでしょうけど。

先ほどゴジラのシーンは冒頭以外は120点と書きましたが、冒頭の大戸島のゴジラ出現シーンは、いきなりゴジラの全体を遠景で撮っちゃうんです。ええ~!! そこは一部だけ大写しにするとか、暗くて全体が良く見えないとかしろよ!恐怖感出なくて台無しじゃん。

いろいろ書きましたが、ゴジラの出てくるシーンだけIMAXかDolbyCinemaで観直したいと思うぐらいで、ホントにそこは良かったです。映画館で観るべきだし、楽しめた部分も多い映画でした。いやでもあの作戦でゴジラ死ぬかどうかまるでワカランまま実施するってのはどうにも…(以下、延々と続く)

とみよし