一寸先は闇
1971年製作/99分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Juste avant la nuit
1971年製作/99分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Juste avant la nuit
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2017年5月24日クロード・シャブロル監督のミステリー映画というので観始めたら、オープニング・ロールで「原作…『Thin Line』の表記」あり、「えっ、原作が『細い線』だったら、成瀬巳喜男監督の『女の中にいる他人』と同じ原作じゃないか!」と思って、本編を観始めたら、やはり同じ原作だった。
冒頭、親友の妻を殺す男の場面から始まり、『女の中にいる他人』と同じだ……と思いながら最後まで観たら、シャブロル監督のこちらは、成瀬巳喜男監督のあの傑作に到底およばない残念な作品だった。
本作では、冒頭の殺人場面の後、犯人の男シャルルが酒場で飲んでいると親友のフランソワがやってくる。……成瀬版では、犯人の小林桂樹がいるところへ親友の三橋達也がやってくる場面を思い出す。
そして、本作では、犯人シャルルの妻エレーヌも夫を信頼していて、親友フランソワもシャルルを長年に亘って信頼している。
フランソワは妻ローラが殺された部屋のオーナーから「私、奥様の葬儀で知っている男を見たんです」と言っても、フランソワは「それは警察にも他言無用」と口止めし、シャルルが妻に「僕はローラと浮気していた。そして殺してしまった」と言っても「浮気は許すし、事故は忘れよう」と話す。
……「なんだかなぁ~」の展開になっていく。
更に、成瀬版では無かった「シャルルの会社での横領事件」などに話が逸れるなど、余計な場面が幾つかあって、興を削がれる。
犯人シャルルが「僕は、幻想と現実の一線を越えてしまった」と言うが、これは原作小説『細い線(Thin Line)』のキモなのでセリフとして、本作本編に含まれている。
これは、成瀬版と同様。
本作は、殺人を犯してしまった男の苦悩を前面に出した作品になっているものの、枝葉のエピソードを入れすぎたため、ミステリーの興を削がれる無駄が多かった。
一方、成瀬巳喜男監督の『女の中にいる他人』は、犯人(小林桂樹)の妻(新珠三千代)に焦点を当てたことが成功して、見事な恐ろしさが出ていた。
成瀬監督の『女の中にいる他人』を観てから、このシャブロル監督『一寸先は闇』を観ると、どうしても傑作映画と比較してしまうものだから、中途半端な作品に見えてしまった。
(逆の順番で観たら楽しめるかどうかは、分からない。)