「ノスタルジーだけではない」カンフースタントマン 龍虎武師 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
ノスタルジーだけではない
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ちゃんと観た覚えがあるのはジャッキー・チェン物ぐらい。カンフーアクションもだが大がかりなスタントの印象は今も強い(エンドロールでのNGシーンの影響もあるだろう)。
本作はポップを装いつつも正統派なドキュメンタリーで、多くのフィルムの引用と当事者のコメントを用いて、香港の映画産業の創始と京劇出身者との結び付きから、技とアクションのエスカレーション、本土での新世代の興隆と香港での衰退、未来の可能性までを描く。香港のアクション映画を取り巻く様々な事情を知ることができた。
特にとても危険に見えた派手なスタントが、プロの矜持と他チームに負けないという意地だけでなく、プアな労働衛生環境(低予算と多作のため)と師弟関係の中で選択の余地がないという半強制性で成り立っていたという点が読み取れた(過去の数多くの死傷事故について、制作陣への責任追及がなされてもおかしくないと思ったが、そういうアングルでは作られていない)。現在は安全第一の現場になっているということが救いである。
新世代の育成にも触れていたが、香港の映画市場自体が本土と一体化する中で、特に高予算のアクション映画の将来はなかなか厳しそうと感じた。
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