「「映画っていいものだ」と思える気持ちは理屈じゃない」銀平町シネマブルース tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「映画っていいものだ」と思える気持ちは理屈じゃない
「映画っていいものだ」という台詞が何回か出てくるが、具体的な理由が説明されないまま、それだけで皆が納得してしまっているのがいい。「映画がいい」と思える理由は、人それぞれだろうし、理屈はどうあれ、「いいものはいい」のである。
そんな映画愛に溢れた人々を描く本作は、偶然が偶然を呼ぶような「できすぎた話」になっているが、映画を巡る寓話として捉えれば、ご都合主義もあまり気にならない。
何よりも、映画を作る者、映画を上映する者、そして映画を観る者たちが、映画館に一堂に会するクライマックスは、祝祭的な幸福感に溢れていて、見ているだけで楽しくなる。休憩時間のロビーでの長回しのような、いかにも映画的な面白さを感じられる場面が、ちゃんと用意されているのも良い。
「キネマの天地」という映画にも同じようなシーンがあったが、映画館で映画を観ながら死ねたら幸せだろうなぁと思ってしまった。
コメントする