「今夜はすき焼きと聞いて急いで帰ったら湯豆腐だった。」パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
今夜はすき焼きと聞いて急いで帰ったら湯豆腐だった。
超絶ドライブテクニックを駆使してどんなものでも目的地へ届けるプロのドライバーが主人公。
作品冒頭から犯罪者を乗せ、執拗な追跡を振り切り見事なハンドルさばきで逃げおおせてしまう。そんな主人公が思わぬ陰謀に巻き込まれ危機に陥る。
映画「トランスポーター」初見時はどんな危機でも主人公が華麗なドライブテクニックで潜り抜ける様を見せてくれると期待した。
だが、カーアクションは最初だけで後はただの格闘映画に成り下がったことにひどく落胆したのを憶えている。主人公が凄いドライバーだというのが作品の売りならば、最後までその個性を生かしたストーリーにするのが観客への礼儀ではないだろうか。
これではカーアクションを観に来たらカンフー映画だったくらいの落胆を観客は感じるのではないか。
そして本作、まさに韓国製トランスポーターだった。ご丁寧にかの作品の悪いところまで似せなくてもいいのに。
掴みの冒頭のカーチェイスはお見事。ここから作品中盤、終盤へとさらに凄いカーアクションを期待せずにはいられない。なんなら悪役側にレーサー崩れのライバルみたいな人間を登場させても良かったのではないか。ちなみにあのハンドグリップ男は悪役として魅力的だったのに早々と退場。
あの子供の母親が見つかるのは終盤にして、最後に警察ややくざの大追跡を振り切り母親のもとへ届けるというベタな結末にした方が娯楽作品としては気持ちが良かった。
などなど、本作は娯楽作品としていくらでも面白くできたはずなのに、正直残念な作品だった。ガン闘病から復帰のパク・ソダムを筆頭に相変わらず役者のレベルは高いし、演出や脚本も悪いわけではない。ただ、邦題とポスターを見たら存分にカーアクションを楽しめる映画と期待してしまう。
原題の「特送」のままで、ポスターに車の絵がなければ変に期待せず楽しめたかも。でも冒頭のカーアクション見せられたら後半もっとすごいのを期待してしまうよね。