「2019年のハロウィンの夜。 前年ハドンフィールドを恐怖の坩堝に陥...」ハロウィン THE END りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
2019年のハロウィンの夜。 前年ハドンフィールドを恐怖の坩堝に陥...
2019年のハロウィンの夜。
前年ハドンフィールドを恐怖の坩堝に陥れたマイケル・マイヤーズが姿を消してから1年。
大学生のコーリー(ローハン・キャンベル)はリッチな夫妻の一人息子のベビーシッターを急遽依頼される。
面倒をみなければならない男児は悪ガキで、悪ふざけでコーリーを2階の部屋に閉じ込めてしまう。
パニックになったコーリーがドアを蹴破ったところ、ドアの外にいた男児は開いたドアの勢いで廊下を飛び越え、階下へ墜落してしまう。
またしてもハロウィンの夜に惨劇が起こったのだ・・・
といったところから始まる物語で、ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)vsマイケル・マイヤーズの死闘を期待していると肩透かしを食らわされます。
それから3年、男児転落死は事故と認められたコーリーであったが、ハドンフィールドの町では悪人として白眼視されていた。
一方、2018年の惨劇を生き残ったローリーは転居して、事件の顛末を著作にまとめる作業を続けており、孫娘アリソン(アンディ・マティチャック)は看護師となって働いていた。
ある些細な事件がきっかけで コーリーとアリソンは親しい間柄になるのだが、加害者とサバイバーのふたりは住人からは奇異な目で見られてしまう。
そして、ある日、コーリーは偶然、マイケル・マイヤーズと遭遇し、復讐の名の下に内なる悪が目覚めてしまう・・・
と展開します。
復讐の名の下に目覚める「内なる悪」の物語はシリアスで、監督・脚本(共同)のデヴィッド・ゴードン・グリーンが元々やりたかったのはこの最終編だったのかもしれないなぁと感じました。
前作『ハロウィン KILLS』の、恐怖を通して住民たちの悪意がむき出しになったあたりにもその片鱗はありましたし、本作は前作でマイケル・マイヤーズに襲われた生き残りの住民が、惨劇の元凶をローリーだと指弾・面罵する描写は生々しくておぞましいです。
出来事にはなんらかの原因があり、悲劇であればあるほど、その原因を見つけて納得したい、その原因はこじつけでもなんでよく、こじつけの方がより原因として相応しいと感じる民衆の心理がよく描かれています。
生々しいおぞましさは最終盤にも登場し、町の浄化の名の下にローリーがとる行動は、実に生々しく、それに歓喜する住民たちの姿が、やはりおぞましさを感じました。
ということで、ブギーマンこと殺人鬼マイケル・マイヤーズのスラッシャー映画ではない『ハロウィン』最終編。
予想とは異なりましたが、意外と興味深く観ることができました。
なお、マイケル・マイヤーズは不死身の殺人鬼ではなく、生身の人間として描かれています。
また、演出的には、ややまだるっこしいかもしれません。