劇場公開日 2023年1月6日

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「観客もパンデミック体感中なら唯一無二だ」非常宣言 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5観客もパンデミック体感中なら唯一無二だ

2024年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

怖い

興奮

2022年製作の本作。
つまりコロナにガッツリかぶっているところが何はさておき、ただのパニック映画に終わらせない。企画は果たしてコロナ前からあったのか。それともコロナに陥り風刺と製作されたのか。興味は尽きない。
もし後者ならスピード感に感服であるし、患者、健常者、賛成派、反対派、民間、政府、医療者が入り乱れて主張し合う本作、しかしながら最後は非常時での一致団結を促す内容だけに、間接的ながら国威掲揚を想像させよくできているなぁと感じた。

物語自体はやや既視感がある展開や設定だが、マッシュアップ韓国版、かつ観客もパンデミック体感中なら唯一無二だ。
マスク警察ばりの機内状況や、着陸できずたらい回しの旅客機に救急車を連想。
狭い機内での撮影にメリハリつけるためか以外では遠景のショットが多用され、大作感もよい。
地上と上空の二つの時間軸を追う展開には、昔懐かし「新幹線大爆破」をだぶらせてしまった。

また韓国映画が劇場上映し始めた頃の喜怒哀楽激しいアツい演技と比べて本編、
かなり抑えたナチュラルさに盛らないリアリティを感じている。
世界進出著しいだけに、その辺りもユニバーサルスタンダード化しているのか。
だとすれば恐るべしだ。

映像も前半、墜落してゆく旅客機、客室のでんぐり返り映像や、後半自衛隊とのニアミスなど、見どころもあり。ところどころあるドキュメンタリー風なカメラワークが、陳腐を削っている。
唯一、尺に合わせて展開してゆくせいで、飛躍に無理を感じてしまう所だけがもったいなかった。とはいえ、そこをちょろまかさなければ旅客機、墜落してしまうしな。

そしてガンホ兄はここでもラスト、一人不幸で終わる。
もう一芸である。

N.river