「終盤は荒いがおもしろい!」非常宣言 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
終盤は荒いがおもしろい!
今日は2023年最初の金曜日で、公開作品がめじろ押し。で、上映スケジュールを考慮して4本目に選んだのが本作。
ストーリーは、ハワイ行きの飛行機の中で乗客が次々と謎の死を遂げてパニックとなり、機内では元パイロットのパク・ジェヒョクがその経験を生かして対応にあたり、地上ではバイオテロを疑ったベテラン刑事ク・イノが執念の捜査を進めるが、機内の感染は瞬く間に広がり、各国の空港が着陸を拒否する中、燃料があとわずかとなり、墜落の危機が迫るというもの。
いや〜、おもしろかったです。もうとにかく緊張の連続で、全編にわたってドキドキさせられます。一人の乗客の変死をきっかけに一気に緊迫感に包まれる機内。ネットの犯行予告動画やわずかな情報から容疑者を特定してじりじりと真相に迫る捜査。この二つが同時進行で描かれる相乗効果で、観客は固唾を飲んでスクリーンを見つめるしかなく、作品世界にどっぷりと浸れます。
その舞台設定だけでも興味深いのに、そこに自分勝手な人間の醜さ、国家間の利害、政府と企業との駆け引き、刑事としての矜持、パイロット同士の確執など、ありとあらゆる要素をこれでもかと盛り込んでいます。それでいて、ほぼ破綻なく成立させている脚本もなかなかよかったです。とはいえ、上映時間の長さや終盤の荒さを考えるともう少し内容を絞り込んでもよかったかもしれません。
また、映像的には、車内カメラで撮った迫力のカーチェイス、360°回転セットで撮影した乱高下する機内などが、かなりの迫力で描かれます。臨場感あふれる映像が、さらに没入感を高めます。視界不良の中で見えてきた空港の灯、暗闇の中で増えていくスマホの光は、乗客の希望のようでもありました。
ただ、終盤になって腑に落ちないシーンがちらほら。そもそも冒頭であれだけ「非常宣言は…」って謳っておいて、宣言後も着陸拒否されるとはどういうことでしょう。逆に、そこを問題提起したかったのでしょうか。また、日本の航空自衛隊が、民間の旅客機に対して威嚇射撃するなんてあり得るのでしょうか。ましてや着陸体制の機体に向かって正面から突っ込むなんて考えられません。そうまでして成田着陸の強行を試みたのは、燃料切れが迫っていたからだと思うのですが、その後また韓国まで飛行できるものなのでしょうか。その間、ク刑事が体を張ってワクチンの有効性を証明しようとしていましたが、彼一人のデータで実証されるのでしょうか。その一方で、乗客全員が着陸を諦めるのですが、ウイルス蔓延の機体をパクはどうするつもりだったのでしょうか。おそらく韓国内陸か近海に墜落するのでしょうが、海に落とせばウイルスは死滅するのでしょうか。怒涛の展開でまんまと押し切られた感はありますが、内容の詰め込みすぎのしわ寄せがここにきていたような気がします。
主演は、ソン・ガンホとイ・ビョンホンで、地上と機内でそれぞれの持ち味を生かした演技が光ります。その他の俳優は知らない方ばかりでしたが、犯人役のイム・シワン、副操縦士役のキム・ナムギル、チーフパーサー役のキム・ソジンが印象的でした。
こんにちは
空軍に撃たせるか、燃料切れによる墜落かなあ?と思ってましたが、空軍パイロットが自国の民間機を撃墜するのは言語道断だし、墜落するのを見守る(当然救出もしない)だけの国民だとしたら滅びて欲しいとさえ思いましたよ。
でも、おっしゃる通り治療薬が刑事に効いたとして、それをもって「効く」とは言えませんなあ。でも、そんなことでハッピーエンドになるなら、いかにもパニック映画らしくて
映画だから全員助かるんだろうなとは思ってましたが、まんまとその通りになりました。あの展開なら墜落が落とし所じゃないかな?
でもそんなことしたら問題になりますね。