春に散るのレビュー・感想・評価
全250件中、21~40件目を表示
ベテラン俳優陣の円熟した演技と、それに気圧されない若い才気が際立つ一作
老境に差し掛かった元プロボクサー(佐藤浩市)と、才能はあるものの若さゆえの危うさも持っている若きプロボクサー(黒木翔吾)の、ボクシングを通じた交流のドラマ、ということで、『クリード』(2015)みたいな作品かな、と思いつつ鑑賞したところ、確かに「ボクシングを題材とした師弟物」としておよそ想定できる事態、要素はだいたい出てきました。
しかしそういった既視感が全く退屈さに結びつかず、むしろ作中に登場する彼ら彼女らの人生をもっと見たい、と思ってしまう魅力が本作にはありました。それは『ラーゲリより愛を込めて』(2022)でも見せた、瀬々敬久監督の、ともすれば情緒的になりそうなところをぎりぎりで回避する演出と、佐藤浩市、片岡鶴太郎、山口智子ら、経験豊富な俳優陣による円熟した演技、そしてそうしたベテラン陣の経歴の厚みに気圧されることなく、しっかり体を作り込んで試合場面に迫力と緊迫感をもたらした横浜流星の努力と才気などが噛み合った結果と言えます。
非常に厳しいプロボクシングの世界を、少なくとも観客に生々しい現実感を感じさせるほどに作り込んだ日常描写も素晴らしいです。練習風景や試合場面など、本作の各場面について、『BLUE/ブルー』(2021)を手がけ、自らもボクサー経験のある吉田恵輔監督の感想を伺いたいところ!
久々に映画を観た感じ。
これ、女性友だちと観に行くつもりだったんですよね。
ところが…ものの見事にフラれちゃいました( ͒ ́ඉ .̫ ඉ ̀ ͒)
そんなんは、別にどーでもええねんで!みたいな感じでスクリーンに釘付けの2時間弱の幸せな時間を過ごさせていただきました。
タイトルからして、主人公のどちらか、あるいはどちらもが命を散らすお話だということはわかっていて。
仁一が引退した経緯が伏線になっていて、翔吾も同じ道を辿るのかな?せやったらなんかモヤモヤしてイヤやなぁ…と思いながら観ていましたが、見事に乗り越えてくれちゃいましたね。
このあたりのカタルシスが本当によくて。
『ロッキー』以来じゃね?こんなにも迫力のあるボクシングシーンの迫力ある描写って。
ただ、唯一惜しかったのは、せっかくの哀川さんご出演なのに見どころが、もうひとつだと思ったのね。
もっとストーリーに絡めてほしかったかなぁ。
鶴太郎さんは、本当にいい味出しまくりでしたが。体ほっそ!
そして、添え物程度のアイドルにしか思っていなかった橋本環奈がほんっとにいい女優さんになっていたのにはビックリするやら嬉しいやら。
懐かしきスポ根感ありーの、爽快感ありーの、人間ドラマありーの、見事な作品でした。
拙い
元々はもっと長く撮ってて、
かなりカットしたのかな❓
と思えるくらい、
カット割が唐突。
差し込むカットも、蛇足が多い。
え、コレ作った人、下手なの⁉️
と思ったら、瀬々監督かよ‼️
大ベテランじゃないか‼️
そもそも変なセリフも多い。
そのセリフの意味は分かるし、
その人が言うのも分かるけど、
前振りが少ないから急展開。
キャストも背景が薄い。
薄いから動機不明で不可解。
鶴太郎は登場シーンと打って変わって、
大人しくトレーナーやってるし、
アレだけブー垂れてた哀川翔が、
急にトレーナーやるのおかしくない❓
橋本環奈と横浜流星も急に引っ付いてるし、
窪田くんのチャラいのも薄いし、
小澤征悦のキャラもよく分からんし、
一番分からんのは山口智子。ブレブレ。
佐藤浩市は色々抱えてるのは分かるが、
それはほぼ分からずに終わる😩
窪田と横浜のキレキレボディーと、
試合シーンは良かったが、
まさかと思ったが、
嗚呼、スローモーション😭
要らねー👊
ラストも意味不明なカット。
最後テロップでも出すかと思ったが、
そのまま終了😳
なんじゃそりゃー‼️💢
2時間くらいで収めようと思うなら、
人物減らして、
特に橋本は不要で、
哀川翔は死んだ事にして、
坂東龍太との試合も少なくして、
佐藤浩市と横浜流星中心に描き込めば、
「和製クリード」くらいにいけるのに😩
原作大事にし過ぎて失敗してる。
タイトルマッチも
折角感動させてくれたのに、
また急に横浜の目の話でトーンダウンだし。
そう、コレがあったのに、
ラストシーンアレだから、益々意味不明。
原作者は本当に満足したのだろうか❓
役者と原作者が可哀想に感じる😓
「ゴールデンスランバー」で感じた、
脚本家の無能さがまた頭をよぎった。
今作高評価されてる方には申し訳ないですが、
時間の無駄でした🙏
熱
もっとスマートに生きればというのが今の主流かもしれない。けど、ああいうモノや時は必要ではなかろうか。
ただ時間を浪費するよりはいいように思う派だ。
2人はボクサーに見えた。
単体では。
試合になるとやっぱよろしくない。まぁ当たり前だ。実際に殴り合う訳にはいかない。本人がOKでも事務所が止める。作品のテーマとは矛盾するように思う…。
けど、それは飲み込まなきゃいけない部分なのだろう。この作品の反響次第で主演達のその後の人生が変わるわけでもなし、莫大な報酬を手にする訳でもない。
UPで殴られるHSはあんな風にしかならなかったのだろうか?
もはや予定調和の上にしか成立しない。
………はぁ。
物語はシンプルなものだった。
燻ってる人々がボクシングを通して前向きに生きていく。生きる目的を見つけていくってとこだろうか。
橋本さんは逆だった。
今までは生きてる実感がなかった。これからは自分の為に生きていく。彼女の「終わった」の一言は辛辣だけれども耳に残る。死者にとっては残酷なのかもしれないけれど、それに直面し対応せねばならない人にとっては幕開けと同義なのであろう。
にしても地味な橋本環奈もいい感じだった。
仁は未練なのかな。
余生を考えた時に去来する郷愁みたいな感情だろうか。彼にとってまたボクシングに向き合うのは、その残された時間を縮める事と大差はないのだろう。
だけど、死んだわけじゃない。
まだ、生きてる。
どうせ死ぬのならば、どっちの生き方を選べばいいのだろうって事かしら。彼は人生に濃度を求めたようだった。
初めて佐藤さんをいいなって思えた。
横浜氏のおかげなのだろうか?
色々、欲が削がれたみたいに見えて似合ってた。
鶴太郎さんの異質さは…群を抜いてた。
アレはなんだ?
ヨガを極めるとあんな存在感が出せるのか?
全く周囲に馴染まない。不可思議な進化を遂げてらっしゃると思えたなあー
窪田氏はさすがの曲者感だったなぁ…形が無いように思えてしまう。小沢氏も良かったなあー
役者陣は皆様、ハマってた。
横浜氏が所属するジムのトレーナーなんかは、当てがきかと思うくらいに見事なキャスティングだった。
と、物語の感想を書き始めたのに役者の感想になってしまった。
そのくらいオーソドックスな筋で、付随する役者によって形が変わっていくかのような。
あ、時折、びっくりするような時間経過が存在する。あまりに唐突にぶっ飛んで面くらった。
ラスト、佐藤さんは死んで、横浜氏と橋本さんは夫婦になって新たな人生を踏み出す訳なのだけど…一般社会にはリングの上ほど刺激が転がってるわけでも、生きてる実感を感じる場所でもないので、ハッピーエンド風ではあるけれど、生きづらいのだろうなぁと思う。
佐藤さんは野垂れ死んだ訳なのだけど、微妙な表情だったなぁ。
ホントのところ⭐︎3.5とかなんだけど、ボクサーを熱演すべく体を作り上げた2人のプロ根性に加点した。
橋本環奈が意外と良かった
2023年映画館鑑賞50作品目
9月24日(日)イオンシネマ新利府
ハッピーナイト1300円
原作未読
監督と脚本は『64-ロクヨン- 前編/後編』『最低。』『友罪』『菊とギロチン』『護られなかった者たちへ』の瀬々敬久
脚本は他に星航(新米?)
プロボクサーを引退し海外でホテルマンに転身した広岡仁一
ホテルの経営を後輩に譲り40年ぶりに帰国した広岡は旧友と再会し親睦を深める
そんなときに辞めかけていたプロボクサー黒木にボクシングを教えてくれとしつこくせがまれてしぶしぶトレーナーを引き受ける話
広岡は心臓疾患で余命わずか
黒木はタイトルマッチ直前に目を痛めていた
ボクシング映画は日本でも最近多く作られるようになった気がする
理由はよくわからない
ただトレーナーが主人公なのは邦画では珍しい
監督と脚本は実績豊富な瀬々監督(『楽園』はいまいちだったけど)
ベテラン若手と演技力高い俳優陣を揃えた
ボクシング映画というジャンルは比較的にいって当たりやすい
面白くないわけがない
21時15分の回で観たが全く眠くならなかった
27年ぶり映画出演!山口智子
ホームベースのような輪郭は相変わらずで懐かしい
そういえば夫は大の野球好きだったな
見せ場はやっぱりボクシングの試合でしょ
特にチャンピオン戦
最終ラウンドはなぜかノーガード戦になるけど
嘘っこでパンチをして別撮りで鼻血メイクとか殴られた感じを作る『みなさんのおかげです』のコントのアレを思い出した
しかもスローで表現
観客も
『8時だよ!全員集合』前半コントのボクシングの加藤志村を思い出す
映画でこの試合クリンチが多用されたからなおさら
ありふれた表現だが嫌いじゃない
ノーガード戦は賛否が分かれるところ
NOはなにかとね
ノーバントノーボール作戦にNOといえる日本にノーパン喫茶
いいぞいいぞと拍手喝采する者もいれば怪訝な表情を浮かべる人もいるだろう
はっきりノーを表現すると波風が立ちがち
『最後の猿の惑星』では禁句になるくらい
豪華俳優陣の中で橋本環奈は若干心配した
ひとり浮いちゃうのではないかと
しかし瀬々監督のおかげなのか父の介護疲れで苦しんできた仁一の姪を演じきったその姿はとても良かった
少し驚いた
彼女を見くびっていた
やれば出来る子
2ちゃんねるとかでキモオタがゴリ押ししていたからか俳優として仕事を始めたころはあまり好きじゃなかった
最後どうなるかはタイトルでだいたいネタバレ
だからといって全然悪くない
佐藤浩市の死体を演じるのだが表情が素晴らしい
黒木のトレーナーを引き受けた元プロボクサーの広岡仁一に佐藤浩市
若手プロボクサーの黒木翔吾に横浜流星
大分から上京した仁一の姪の広岡佳菜子に橋本環奈
真田のジムで世界戦を期待されているプロボクサーの大塚俊に坂東龍汰
仁一の旧友の元プロボクサーでジム経営に失敗し妻子と別れた佐瀬健三に片岡鶴太郎
仁一の旧友の元プロボクサーで傷害で出所したばかり妻を病気で亡くした藤原次郎に哀川翔
プロボクサーでチャンピオンの中西利男に窪田正孝
広岡がかつて所属していたボクシングジムの会長の娘で現在は父を継いで会長を務める真田令子に山口智子
黒木のセコンドの山下祐二に松浦慎一郎
大塚のセコンドの群司に尚玄
和美の職場の同僚で付き合っている原田に奥野瑛太
ガソリンスタンドで働いている翔吾の母の黒木和美に坂井真紀
中西が所属するボクシングジムの翼会長に小澤征悦
熱き戦い
流星くんがほんとにかっこいい。
表情が挑戦者のギラギラ感、半端ない、リアルにボクサーだった。ストイックで役に入り、演じる流星くんがステキで毎回、魅了される。
ストーリー的にわかりやすい展開であった。激動の数ヶ月の展開であったが何か心を揺さぶられる内容であった。リングサイドで実際、試合を観たらもっと感動したかもしれない。
魂と魂の命懸けの友情
佐藤浩市さん目当てで観に行きました。
当然の事ですが、出ずっぱりなので非常に満足しました。
オープニングで広岡(佐藤浩市)の肩に桜の花びらが舞い落ちるシーンと、エンディングで桜舞い散る中、息をひきとるシーンの対比がとても綺麗でした。
最初は噛み合わなかった広岡と黒木(横浜流星)が周囲の援助を借りて徐々に気持ちがシンクロしていく様は観ていて気持ちが良く最後まで中だるみせず、夢中で楽しませていただきました。
今作では、よくある「何故生きるのか」ではなく「何にかけて生きるのか」を問うものだったと思いました(奇しくもジブリと同じライン?) 。
それを桜でなぞらえたのが今作品の品の良いところなのでしょう。
桜は満開の時には誰もが立ち止まって見上げるものの、散り始めると儚さだけを感じてしまうのは昔も今も変わりません。ただ、今年観た桜を来年も見られるかは誰にも判りません。
一日一日を丁寧に生きて行かねばならないと思いました。
外国で事業に成功しているという怪しいパンフレット
ボクシングでチャンピョンを目指す話。
対戦シーンの臨場感は見ものである。ストーリーも悪くはないだろう。
良い点
・迫力
・尺は若干長いものの、テンポが良いので冗長さをあまり感じさせない。
・試合後はいい人
悪い点
・居酒屋で騒いでいる客をあおる
・ストーカーの才能もある
・かりょうてん??作品から一番浮いている。表情がいちいち作為的、どちらかというとギャグ仕様。
・佐藤浩市の歩き方の癖が気になる
魂を揺さ振る熱い人生論
原作者、演者が楽しみで予告編を見てから絶対に観ると決めながら、どこも上映回数が少なくラストにやっと観られました。
予想以上の迫力あるボクシングシーンと横浜流星とチャンピオンの身体には男の私でも作り上げてきたな~と感心しきり。
持病持ち役の佐藤浩市はとてもリアルでストーリーのどこで倒れてしまうのか気になりながら観てました。
制作費がもっとあれば世界戦の会場はもっとリアルにできたと思うが致し方なし。
試合シーンも長く見ごたえがあったが、それ以上に人間模様というかそれぞれがいろんなものを抱えて生きてる、まぁ当たり前のことであるが、それでも流されてただ生きるのでなく何か熱くなるものを持ち生きることの充実感を教えてくれます。
原作はきちんとあるが、僕は「あしたのジョー(アニメ)」のリメイクだと思っている。
予告編を観て、「ジョーが帰ってきた!」と思い、映画館に足を運びました。 やっぱりジョーでした!
パンチをスロー撮影するのは良いが、肝心な"スピード感"がなくなり、演出的にはかえって迫力を落としてしまった。
パンチを受けた 歪んだダメージ顔を演出したいならば、VFX処理で解決した方が良かった。
橋本環奈さんは、演技も良かったが、
ほんとうは、もっと小奇麗に映して欲しかっただろうが、
役柄的に地味にしたその役作りも大変よく、好印象が残った。
片岡鶴太郎さん、予告編ではいつも下手な演技なのだが、それでも作品内では 必ず 良いアジのある好演技を魅せてくれます。
何度も読破に失敗している「青が散る(宮本 輝)」のドラマ版で、主人公の親友であった 佐藤浩市さん にはピッタリな作品名
白髪がヘンだが、映画では安定したこう演技を魅せてくれました。 デビュー時から安心して、重要役を任せられる役者さんです。
本作が気に入ったなら、僕は劇場では見損ねて、配信でみた「ケイコ 目を澄ませて」を観る事を勧めます。とても良いおススメ作品です。
VIVANTの次に…
なんか濃厚な作品が観たくなったので、予告でちょっと気になってたこちらを。
ボクシングには抵抗は無いけど、そんなに興味も無い。
ロッキーも明日のジョーも知ってるけど、見たことは無い。
いやー、良かった。
演技派揃いで、引き込まれる。
橋本環奈も素っぴんみたいな疲れた出で立ちで、だからこそ「やっぱり可愛いなー」と思っちゃう。
主役の2人はもちろん、山口智子も片岡鶴太郎も哀川翔もなんかちょっと素みたいな感じも良かった。窪田正孝も、ホント憎たらしくなるし。
もっと大ヒットしてもいいのに。
横浜流星も、もうイケメンポジションじゃなくて、いい俳優ポジション。
この映画、お金払って観に来るのは、推し目当てのミーハーさんじゃなくて映画好きな人だけ?
だから、観客動員数は伸びないの?
いい意味で、VIVANTの次に日曜劇場でやって欲しかった。
2時間じゃなくて、ワンクールでも観たかった。
一瞬を生きる
かつてボクシングの夢を諦めた男が、不可解な判定で敗れ自棄になっている青年と出会い、トレーナーとして再度ボクシングの熱を取り戻す物語。
謎の爺さんが実は凄い人で、ひょんなことからダウンを奪われ教えを請い、王者を目指す…という王道とも言える展開。仁一と翔吾が二人三脚で王者を目指すのを主軸に、そんな二人をとりまく皆も人生の輝きを取り戻していく。
まず、何が素晴らしいって、こういう作品ってアイドルとか若手役者さんがボクサー役を務めるものの、目も当てられないようなフォームで「世界チャンピオン‼」なんて言うもんだからドッちらけ…みたいなことになりがちだけど、主演の一人の横浜流星さんとても様になっている‼
知らなかったのですが、空手の実力者だったとは。勿論ボクシングとは違うと思いますが、納得の演技です‼
そんなことも相まって、ボクシングのシーンは迫力があったし、緊張感も抜群‼
人間ドラマも感動ですね。こちらもボクシングモノとしては王道ではありますが、2人ともボロボロの体で立ち向かう姿はグッときた。
脇を固めるキャラクター達の物語も素晴らしい。三羽がらすの姿や、猟奇的なチャンピオンの振る舞いも見応えアリ。人の人生を自分勝手に変えて…は、会長と仁一の過去が垣間見えますね。
デビューは何度でも…いくつになっても新しい自分自身に挑戦していきたい、そんな風に思わせてくれた作品だった。
ボクシングへの情熱が燻りつづける男たちの、命をかけ再生する姿が濃密に描かれた人間ドラマです。見応え充分です。
予告を観て気になっていた作品です。
横浜流星がボクシングのプロライセンスを取って
撮影に臨んでいた とも聞いていたので期待大。
ぜひ観なければ、というわけで鑑賞です。・_・
※大雨やらなんやらで、鑑賞機会を2回見送った末に
三度目の正直でやっと観れました。 ほっ・_・♪
期待したよりも濃密な人間ドラマと、
期待した以上のボクシングシーンで出来た作品でした。
迫真の世界タイトルマッチに拍手です。 \・∀・/
◆ 濃密な人間ドラマ
佐藤浩市と横浜流星のダブル主演。
との宣伝でしたが、鑑賞して分かりました。
物語の主役は、佐藤浩市です。
40年くらい前、日本のボクシングジムに
籍を置き、所属したジムの「3羽ガラス」と呼ばれた男が
広岡仁一 (= 佐藤浩市)。アメリカに渡る。
何試合目かに判定で敗れ、そのまま引退。。あら
その後は日系企業のオーナーに拾われて
ボクシングとは無縁の日々を過ごしてきた。
40年後の現在、その企業も辞めて日本に帰国。
東京のどこか、下町風の居酒屋。
一人で酒を飲む広岡(佐藤浩市)。
店内には、バカ騒ぎする3人組 …。やかましいぞ -_-〆
注意する広岡の後をつけてきた3人組が絡む。
あっさりと返り討ちにする広岡。おぉ。つよい。
その場面を見ていた一人の若者。
前に立ちはだかり、拳を構える。 それを見た広岡も。
そして一瞬。
あごに強烈なカウンター。
倒れたのは若者の方だ。
” 大丈夫か? ” と声をかけ、立ち去る広岡。
今のパンチは何だったのか。凄い。やられた。。
広岡の強さを感じとったその若者が黒木翔吾(=横浜流星)
黒木は広岡への弟子入りを密かに決意する。
黒木もまたボクサーだった。
弱小ジムに所属していた彼は、
" 試合が判定になると、大きなジムの選手に勝てない "
そんな境遇が嫌になり、リングを離れた。。あら
この二人が出会った事で
過去にボクシングに情熱を傾けた男と、その仲間たち
現在もボクシングに情熱を燃やし続ける男と、現役のボクサーたち
それぞれの思惑が絡み合って
濃密な人間模様が描かれる作品でした。
◆ 期待以上のボクシングシーン
迫真のボクシングシーンでした。
横浜流星演じた黒木翔吾。
窪田正孝演じた中西利男。
この二人の世界タイトル戦は圧巻でした。天晴れ。
俳優が本業のハズのこの二人ですが
どこからみても「ボクサー」の体つきでした。
横浜流星。
こちらは元々空手をやっていて、
格闘系の演技に定評があるのは知っておりますが、
この作品のためにボクシングのプロライセンスを
所得するほどの力の入れようだったとか。
それにしても見事な肉体に仕上げてました。
腹筋と背筋がきれいでした。拍手。
一方の窪田正孝。
こちらも、より「ボクサー」に成りきってました。
もともとがスリム体型の役者さんとは思うのですが、
こちらも無駄肉の無いボクサーの体型に見えました。
腹筋割れてました。拍手。
(↑ 腹筋しか見ていない訳ではない…)
あと、佐藤浩市。
元ボクサーとして頂点を目指しながら挫折した男。
目の前に現れた若者の熱意に負けてトレーナーに。
闘い方の技術的指導をする場面がいくつかありました。
さりげなく演技しているように見えましたが
これも相当練習したのだろうなぁ、と推察。拍手。
◇
世界タイトル戦が終わり
試合に関わった人達それぞれの状況に変化があり
そして新しい日常が始まる場面を描いて終わります。
勝った者。失った者。どちらに対しても、
暖かな陽射しが降り注ぐような、
暖かさを感じられるエンディングだったと思います。
見て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■沢木耕太郎
この作品の原作が沢木耕太郎。
スポーツドキュメンタリー作品を多く書かれた作家さん
との事なので、名前は存じあげていたのですが、読んだ
作品がありません。
作品名を見ていたら、面白そうな作品があり、購入。
「敗れざる者たち」
ああ、また一冊読む本が増えてしまった…。(頑張ります)
■三羽がらす
モデルとなったボクシングジム、「帝拳」とかでしょうか。?
「三羽ガラス」も実際に昔居た気がするのですが
誰だったかなぁ …と遠い目。
片岡鶴太郎? では無い気が…
■覚えてろ のその後
冒頭飲み屋でのシーン。
佐藤浩市演じる広瀬にバカ騒ぎを注意された3人組。
逆恨みして絡んだ挙げ句、あっさり返り討ちに…
おぼえてろよの捨てぜりふで退場。
この3名、この後ストーリーに絡んでくるのでは と
折角覚えていたのに出てきません。
覚えていたけどザコでした…。 ・-・ (悔しい)
◇最後に
■「春に散る」
世界タイトル戦が終わり、黒木の入院した病院を出た広岡。
玄関前には、どこからか飛んできた桜の花びら。
とても綺麗な
そして…
地面に横たわった広岡のシーン。頭上には満開の桜の花。
西行の和歌が頭に浮かんできました。
「 願わくは 花の下にて 春死なん
その如月の 望月のころ」
こんな終焉も、情緒的には有りかもしれません。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
本当のボクシングがここにある。
年末にエキストラに参加しました。流星くん見たさに応募しましたが自分を恥じました。そこには映画の撮影ではなく、本気のボクシングの世界タイトルマッチがありました。俳優ではなく本当に戦う黒木と中西。エキストラ全員もいつしか本気でボクシングを応援していました。
あの日、生で見た本気の試合が、映画にそのまま現れていました。脚色がない本当のぶつかり合い。血と汗の匂いが画面からしました。凄い映像でした。
彼らの本気と会場の本気がそのままありました。
涙が止まりませんでした。満員の映画館にも伝わっていました。
老いた男たちの夢を叶える話が、いつしか横浜流星がすべてを引っ張り叶えていく話になっていました。すがすがしい映画でした。
多すぎないか?ボクシング映画。
自分の不遇な環境を「ブッ壊したくて」始めたボクシングでも不公平な判定で負け、挫折しかけのボクサー(横浜流星)が主人公。
不公平な試合で引退し、アメリカに渡った元ボクサー(佐藤浩市)が一方の主人公。
アメリカに行って成功した仲間においていかれた気持ちの昔のジム仲間。
病気の親の介護に人生を縛られた姪。
食事もまとに食べられない子供。
そんな不公平が世の中にある限りボクシング映画はつくられるし、これからも観るよ。
ボクシング映画には秀作が多い?
今作も熱くなる逸品だった。
横浜流星くんの本気に圧倒されまくった。
橋本環奈ちゃんとのさりげないふれあいも好きだった。
地味な佇まいの環奈ちゃんが好きだった。
ただし岸善幸監督の『あゝ、荒野』、武正晴監督の『百円の恋』『アンダードッグ』、吉田恵輔監督の『BLUE ブルー』、三宅唱監督の『ケイコ 目を澄ませて』などの作品に対する愛情と比べると若干落ちる気が🙇
自分の人生と重ねる部分が無かったからかな。
俳優ってつくづく凄いと思う
それを見せる映画でした、
(9/22続き)
横浜流星さんはじめ、ボクサー達はいずれもサマになっていてそれが見どころです。佐藤浩市さんが渋いです。
ただ、演出はセンスが古いと思いました。「糸」を観た時と同じ印象です。キャラクターが典型的でつまらないですが、「糸」のように意味不明では無いです。
佳菜子は黒木を献身的に支える為だけのキャラクターだなと思います。佳菜子が働く惣菜店がこども食堂のような感じの店なのが気になりました。いかにも健気な女性が働きそうですが、現実では、独身で料理に自信がある若い子は、ああいう賃金が安そうな店では働かないでしょうね。レストランか大きいベーカリーで働かせてあげて下さい。
撮り方も、正面とか真横が多くて、工夫が無いように感じました。
全250件中、21~40件目を表示