「劇場スルーがもったいない」SMILE スマイル Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場スルーがもったいない
狂気に満ちた笑顔はあんなに怖いものなのか。夢に出てきそうなそれは、確実に冒頭で観客の心を掴むだろう。
理由も分からず得体の知れない何かが付きまとい、死を連想するイメージばかりの夢を見させられたり、悪夢の様な嫌がらせでひたすらに真面目に生きる主人公を追い詰めていく。だが、主人公(姉妹)には忘れられない出来事があり、それが物語にも生きてくる構成になっている。徐々に精神的にもおかしくなる主人公が、周囲から見たら奇行としか思われない様な行動を取るようになり、旦那等の身内にも理解されない展開は、ベタではあるが観ているこちらも追い詰められる気持ちになる。
精神科医という立場の人間でありながら、自身も精神的にやられていくという皮肉っぽい展開は面白かった。呪いの連鎖は「イット・フォローズ」の様に直接関わった人間に降りかかるものであり、呪いにかかった人の死の直前にする不気味な笑みを目撃するという共通点があるだけで、それぞれの人には特に罪などは無いのである。そんな不条理な悪意に満ちた呪いだが、上手く過去のトラウマを混ぜ合わせて無理の無い展開に収めている。旦那の出番が少なく、刑事の元恋人の存在が後半に向かうにつれて大きくなるのだが、変によりを戻そうなんていう展開は無くて安心した。
サスペンスフルな前半とは相反するかの様に、後半にはビジュアル的にも中々しっかりしたラスボス的存在も描かれ、エンターテイメントとして良くまとまった作品だと思う。世界的にはスマッシュヒットとなった本作だが、日本未公開なのは残念だ。
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