「人情ドラマだが、人生の生き方を示唆している」こんにちは、母さん みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
人情ドラマだが、人生の生き方を示唆している
名匠・山田洋次監督が最も得意とする東京・下町で暮らす家族の景色を描いた笑いあり涙ありの人情ドラマ。設定は現代だが、昭和テイスト濃厚で、山田監督の昭和への強い愛着を感じる。誰でも自然に作品世界に入れるので、山田ワールドを存分に味わい、楽しめる作品である。
本作の舞台は、東京の下町。主人公は神崎福江(吉永小百合)。彼女は、たび職人の夫亡き後も家業を引き継いで暮らしていた。そこへ、暫く振りに息子の昭夫(大泉洋)が訪れる。彼は、大企業の人事部長となったが、満身創痍状態で働いていた。家庭では、妻と別居し、大学生の娘(永野芽郁)との関係もギクシャクしていた。彼は、髪を染め、服装も一新し、恋愛の噂も聞こえてくる母の変貌ぶりに驚く。そんな母に戸惑いながらも、下町の人達の温かさに触れ、会社生活で忘れかけていた本当の自分の姿を取り戻していく・・・。
私はサユリストではないが、78歳になる吉永小百合が美しい。役どころのせいもあり、美しいだけでなく、逞しく、艶やかである。恋愛話にも説得力がある。この主人公と会社でも家庭でも行き詰まり状態の昭夫との対比が作品の主軸になり、人生の生き方に迫っていく。昭夫は組織のために働く典型的な組織人。対する主人公は、人生経験を積み重ねた末に、健康で五体満足で生きている時は好きなことをして楽しもうという生き方に変わった。
そんな母親や屈託のない下町の人々に接していくうちに昭夫も変わっていく。彼は、決断する。そして実行する。様々な柵を捨てて、母のいる実家に戻ってくる。人間は、組織の為、世間体の為に生きれば、生気を失っていく。自分の為、人の為に生きれば、生気は蘇り覚醒する。
ラスト。希望を感じる幕切れだった。人生、良いことばかりではない。それでもなお、希望を持って生きていこうという作品メッセージが心に染みわたる。本作は、人情ドラマではあるが、人生の生き方を示唆している含蓄のある作品である。
コメントそして共感ありがとうございます。
丁寧に読んで下さって感謝してます。
山田洋次監督は日本人の心を分かって下さる、決して難しくない
わかりやすい作品で、おまけに肩が凝らない心地良さ。
お説教臭くないのに心に響きますね。
男の方が社会で働くことの大変さ、
宮藤官九郎の必死さ、どこかのんびりした大泉洋。
それも吉永小百合のお母さんがバックに控えていてこその余裕ですね。
対談で本当に頭脳明晰でお若くて、まだまだ新しい作品が観られる!!
と思いました。
みかずき様、共感を入れていただきましてありがとうございます。
遅ればせながらようやく本作品を鑑賞いたしました。安定した作品であろうと思っていたので後回しにしておりました。
おっしゃられますとおり、『人生の生き方を示唆している』ものと共感いたしました。「人それぞれいろんな立場生きて行く道探っていくこと」それこそが人生なのであり、そのための『生きがい』なのだと教えられた気がします。
あの後福江さんは北海道へ会いに行ったのでしょうか。お互いにメールとかやっておられないと思いますので文通でしょうか。気になります。
今作品はやはり監督の膨大な作品群と人生の経験の深さから来るものなのでしょうね。少しでも学ばねばならないと思いました。
余談ですが少し思ったことを…
役者さんがみんなおとなしすぎて緩急の起伏が少なかったなあと思いました(スピード感がほしかったです)。もっと激しい口論があっても良かったのではないかと思いました。
また、みかずき様のレビューを楽しみにいたしております。
よろしくお願いいたします。
コメントとフォロー返しくださり、ありがとうございました。
いろいろな所へ投稿されているのですね。的確なレビューはそういったご経験の賜物ですね。
これからも楽しみに読ませていただきます。
みかずきさん、鋭いですね😆
好きなだけに、細かいところが気になってしまい、レビューを上げるのも普通より遅くなりました。
私は昭夫と違い、出世とは縁がありませんが、家族構成や妻と娘の関係性などが人ごととは思えなくて…。
昭夫、もっとしっかりしろよ‼️
というのは実は、じぶん、もっとしっかりしろよ‼️
という感じでみておりました。
いやはやなんともお恥ずかしい😆
みかずきさん
コメント、共感ありがとうございます。
レビュー拝見して、自分のために生きることと人のために生きることって、同義なんだなと感じました。
自分に後ろめたくなく生きることが、誰でも自然にはできない時代なのかもしれません。
希望のあるあたたかく力強いラストでしたね。また共感作でのレビュー、楽しみにしています。
みかずきさん
共感をくださり ありがとうございました。
ご覧になられて嬉しいです(^^)/
山田洋次さん脚本、監督作品
下町が舞台の人情ドラマ
素晴らしくて・・・
吉永小百合さんも 品があってお綺麗ですよね。
おばあちゃん役も喜んで引き受けられたとか
大泉さん主演の映画も 実は多く観ています。
レビューできてないのですが・・・
牧師役の寺尾聡さんも
久しぶりに見られて嬉しかったです。
個性派な役者さんたちの出演も
楽しく安心しながら観れました。
>組織の為、世間体の為に生きれば、生気を失っていく。
自分の為、人の為に生きれば、生気は蘇り覚醒する。
その通りですよね。サラリーマンの宿命というか
これからの時代はAIが人間に変わって
働くかもなので、人事もAIが・・・
希望あるラストで嬉しかったです。
母も息子も 娘も
再出発ですね。