劇場公開日 2022年12月23日

「ハリポタ”ダドリー”役のメリング演じるポーがとてもいい」ほの蒼き瞳 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ハリポタ”ダドリー”役のメリング演じるポーがとてもいい

2023年1月24日
PCから投稿

クーパーとベイルが組んだ過去2作はどれも少なからず西部劇的な香りが漂っていたが、本作は従来とやや異なる風味のノワール・サスペンス。1830年代、夜闇と霧とが溶け合う幻想的なほの蒼さの中、首をつり心臓を抜き取られた死体をめぐって怪しげな相関図が浮かび上がっていく。事件の謎に挑むのは都市を離れ隠遁生活を送る元刑事ランドーと、陸軍士官学校の生徒で不思議な観察眼を持つポー。つまりランドーを主軸にした推理物ながら、いずれ作家になるエドガー・アラン・ポーの「エピソード0」でもあるというわけだ。40歳で死んだポーの最晩年の小説の題名が「Landor's Cottage(ランドーのコッテージ)」だったり、本作には他にもポー作品にまつわる小ネタが散りばめられているのかもしれない。クライマックスには賛否が分かれそうだが、一枚、また一枚と襞をめくるように丹念に織りなされたディテールと作品世界は非常に見応えあり。

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牛津厚信