少女バーディ 大人への階段のレビュー・感想・評価
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自分の物語が救いになる 女の子は闘い続ける!決して折れない自由への渇望・反抗は周囲に伝染するのか?生意気なのにはワケがある運命に逆らう悪あがきと抵抗の記録
脚本監督レナ・ダナム自身の演じるようなキャラクターを投影させた感のあるベラ・ラムジーの好演と、みんな大好きなアンドリュー・スコットの父親役がイイ!!
子供向け小説の原作未読ながら本作は紛れもなくレナ・ダナム調で、見事なカミングオブエイジ。すごい年齢差のある結婚も普通だった時代設定に関係なく届くテーマも。毎度おなじみ(?)レナ・ダナムの裸は出てこないけど、例えばウディ・アレンが自身のペルソナ的キャラクターを主人公などで毎回登場させたように、本作の主人公もレナ・ダナム自身みたい。また音楽では現代楽曲のカバーなど、例えば『マリー・アントワネット』等にも通ずる、時代モノから今日まで通ずる普通の十代の女の子の等身大な姿を描き出すみたい。
とにかく口の悪い14歳のバーディの遭う月経という受難。月経がある性別というだけで、小屋作りを手伝って泥だらけになることもできない。父親役はアンドリュー・スコット。無駄遣いしすぎて家計切迫。娘を嫁にやって財産を成したい、頼みの綱はバーディだけ!本人はサラサラ金髪イケメン英雄ジョージ叔父様にメロメロ夢中だし、お嫁に行きたくなくて当て布を毎月隠している。"処女"って?"性交"って?乳母のモーウェナには心開いている様子。母親は流産ばかり続いている…。
軽い感染症
処女は価値が高いの?私たちの価値を決めないで、物じゃないの!
子供たちに人生の目的を見つけさせてあげて
早く反骨心を教えたい。逃げたい?それなら私は大先輩よ
自分が不幸でも、他人の幸せを願えるようになった
中世英国の雁字搦めな女性の一生にお転婆娘が唾を吐く!! 奔放な少女が隣人の幸せを慮る時、少女が大人に、世界が平和に近付く...
鑑賞前はお転婆娘がビターな現実を目の当たりにして色々と"諦める"ことで大人になる展開を想像しており、実際そういう側面も有りましたが、コメディー基調の物語の中に"変人扱いをされつつも世の規範・常識に抗い続けることで周囲の無思考・無批判な人々に気付きと自由意思を与える"という古風ながらも普遍的なテーマが息づいており、しばしの猶予期間の内に幕を閉じるラストは中途半端ながらもそれだけに余韻に満ちています。
作中でも触れられたように次の縁談までの猶予期間のようなものにすぎないのが現実ではありますが、親子のみならず住民たちとも心を触れ合わせた彼らですから、村や一族の事情のみならず結婚する彼女自身の意思も尊重されたでしょうし、そのことがその後何世紀も掛けてようやく果たされた遍く人々の自由恋愛・自由結婚への大きな一歩となったと信じたいところです。
おそらくは歴史の流れの中で夥しい数の女性が自分を納得させた"自己犠牲"の精神の必要性は相応に認めつつも、そこに留まらず"それでも"とメッセージを進めた演出と展開はなんとも現代的だと感服した次第です。
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