「良く練られた素晴らしい脚本」死刑 粉雪さんの映画レビュー(感想・評価)
良く練られた素晴らしい脚本
死刑制度を考える上でのあらゆる意見や議論が詰め込まれた70分だった。
役者さん達の熱がこもった掛け合いで、話はどんどん展開していく。
登場人物はそれぞれキャラクターが立っており、様々な立場、様々な思想から、様々な意見が出る。
誰に何を言わせるのか、どのように話を展開させていくのかが上手に配置されており、とても見やすかった。
今後、学校の授業などで議論する際には有益な資料となるに違いない。
監督の言うように、この映画が様々なことを考えるきっかけになればいいなと思う。
パンフレットに載せられた脚本(役者さんの台詞とト書)は、それぞれの意見や説明を改めて咀嚼しながら読むことができ、読み応えがあった。
文字の台詞を追いながら、各役者さん達の素晴らしい演技を思い出す。
長回しの掛け合いには引き込まれた。
中でも話し合いの期間中に妻子を失った山田の嗚咽は、強く心に甦った。
映画の落としどころとしては、監督の思想が反映されているのかなと思ったが、私も賛同である。
個人的には坂上香監督の『プリズン・サークル』などの作品に描かれている取り組みが変化の要の一つだと思っている。
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