劇場公開日 2024年1月12日

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「知ってから観るか、知らずに観るか」葬送のカーネーション うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0知ってから観るか、知らずに観るか

2024年1月17日
PCから投稿

ヒッチハイクと徒歩を繰り返しながら棺を運ぶ、祖父と孫を追ったロードムービー。
棺を剥き出しで長距離運搬するという異様な行為と、ほぼ無言で足を進める二人を遠くから撮ったカット、そして奇妙な旅路を行く二人に様々な人が投げかける言葉が印象的だった。

大人が主導する訳アリの旅路を子供の視点で描く作品として、イラン映画「君は行く先を知らない」を思い出す。
行間を読ませる描写や意味深なパート等、示唆的なエピソードと映像が豊富で、頭と感覚を研ぎ澄ませながらの鑑賞だった。

旅の理由やその目的地が持つ意味、なぜ二種類の言葉が行き交うのか等、旅の背景や二人の素性は本編が進むにつれ徐々に明かされる。それらの殆どは既にチラシや作品紹介に書いてあるためネタバレではないのだが、明らかになるのが本編の終盤だったりにおわせ程度だったりするため、事前にそれらの情報を知っているか否かで作品の観方や鑑賞後の印象が大きく変わるような気がした。もし事前情報ゼロで鑑賞していたら自分はどんな感想を持ったか、記憶を消して再見したい作品だった。

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うぐいす