理想郷のレビュー・感想・評価
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理解どころか歩み寄ることさえ拒否する絶望に言葉を失う。素晴らしい作品ですが、見終わった後もしばらく胸くそが悪いまま。
貧困と過疎化と高齢化が進み打開策もない村。この村で生まれ、育ち、生活する村人の中には、出て行くこともままならない者もいる。
自然環境を破壊し景観が損なわれても豊かさを求めることに何のためらいもない。
いったい誰がこの者たちを非難できよう。
一方、自然や人との繋がり、スローライフを求めて都会から田舎へ移住する者がいる。今までの暮らし、仕事、人間関係、便利さ、築いてきたものの多くを捨て、一生住む覚悟で移住してきた。
自然の美しさと景観に魅了されて移り住んだ者にとって、それらが失われてしまったら移住してきた理由がなくなってしまう。
決して理解し歩み寄れない対立と分断が憎しみへと変わる。
この映画が別に夢や希望、解決策を描いた作品でないことは分かっているのだが、僕には余りに妥協点の見いだせない問いと結末で、心が暗たんたる気持ちになって気分が塞いでしまう。
日本でも都会から田舎へ移住した人は、自分の体験としてより深く理解できる部分があると思う。また、田舎へ移住しようと考えてた人は、思わず考え直そうと思ってしまうかもしれない。
最近では「福田村」 「月」 「キリング・オブ・ケ ネス・チェンバレン」 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 に連なる作品だ。
いずれも現在ある問題を僕に突きつけてくる。
「理想郷」の初日は2023/11/3(金)で、ゴジラ映画の新作 「ゴジラ ―1」と同じ日だ。
僕はもし生涯あと1本しか映画が見れないとしたら、恐らくゴジラ映画を選ぶだろうというぐらいゴジラ映画が好きだ。だから「ゴジラ ―1」は初日の朝1で見ようとずっと前から心待ちにしてた。
だけど最近この 「理想郷」 のことを知って、こっちの方を先に朝 1で見に行かねばと思って見に行った。
ところが観賞後、余りにも重い作品だったので、今日のところは考えるのをやめて、いったん逃げることにした。逃げるのは好きで得意だ。
そこで、これを見たあと、「私がやりました」 (コメディ映画) と、「ゴジラ − 1」 (ゴジラ映画) を見て上書きした。
移住者虐め!
リタイア後の人生、自然豊かな土地でエコな作物を作り、
自然と共生を夢見る第二の人生なんて、都会のサラリーマンが憧れる余生の過ごし方。
しかし、
金にこだわる地元民と、自然との共生を大切にしたいと考える移住者。
それぞれの思惑は分からなくもない…
日本でも、<限界集落の移住者虐め>の話は聞いたことがあります。
そして、だいたい同じような構図。
それだけに他人事じゃない恐怖。
実話ベースなだけに、移住は隣人ガチャに外れると大変!と改めて震え上がりました。
見知らぬ土地にはお試し期間が絶対必要ですね。
そして、
受け入れられていないと察した時点で退く勇気は必要ですね…
夫の失踪で殺されたと感じ、探し続ける妻の姿が印象的。
夫婦の愛の深さも、じんときた。
それぞれの考え方のすれ違いが高じた悲劇の物語でした。
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